16章『闇獣と精獣』1 ページ15
「コンラッド、校長先生…」
そう呟くリリシアに優しく微笑みかけたコンラッドは、リリシアの頭を撫でた。
「よく眠れたかしら?うなされている様子ではなかったけれど」
コンラッドの言葉に、「ええ。気持ちよく眠れました」と返したリリシア。
その返事を聞いたコンラッドは、ただリリシアの頭を撫で続けた。そこまで子供ではないと思っていたが、案外心地よく感じてしまう自分にリリシアは驚いた。
そうされ続けているうちに、不意に脳内を先ほどの言葉がよぎった。
『闇獣』。一体それは何を指す言葉で、どんな印象の言葉なのだろうか。
聞いてみたいが、その響きからリリシアは何となく簡単に尋ねてはいけない言葉だろうと感じ取ってもいた。
悩んでいる気持ちが、顔に現れていたのだろう。コンラッドが「どうしたの?」と首を傾げてリリシアの頭を撫でる手を止めた。
ここで誤魔化すのは流石に不自然だし、校長先生に失礼にあたる。リリシアは意を決して、恐る恐る口を開いた。
「コンラッド校長先生。…『闇獣』って、何なのですか?」
その質問を聞いたコンラッドの顔色が変わったのにリリシアは気づいた。手が、頭から離れていく。
その質問はして欲しくはなかった、とありありと示すコンラッドの行動に、リリシアは「やっぱり言わないでおくべきだった」と内心後悔した。
しかし、今更発言を撤回するわけにもいかない。リリシアの中には、校長先生に迷惑をかけたくないという思いより、言葉の意味を知りたいという好奇心の方が勝ってしまったのだった。
「…どこでその言葉を?」
沈黙の末にコンラッドが発した言葉は、それだけだった。ベッドから起き上がりながらリリシアは答える。
「寝ている間…夢の中でアダルバートさんという人の日記を読んだんです。そうしたら、その中に『自分は闇獣の霧豹の家系だ』という風な記述があって…」
そこまで言って一度コンラッドの表情を見る。コンラッドは、「アダルバート…」と日記の持ち主の名前を繰り返し呟いていた。
「…お知り合いですか?」記憶の片隅から呼び戻そうとしているかのようなその様子に、リリシアは尋ねる。
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明咲こより - 美坂るぅさん» 了解致しました。 (2017年2月5日 14時) (レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)
美坂るぅ(プロフ) - 明咲こよりさん» そうですね、消しておきます。どうやらコメ欄とボタンの色がコピーできていないようですので、ひつようならよろしくお願します。 (2017年2月5日 14時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
明咲こより - 美坂るぅさん» できました!画像が重なってしまっているのは、自分で調べて直します!作成して下さり、本当にありがとうございました。それから、パスワードが書いてあるコメントは消去した方が宜しいのでしょうか? (2017年2月5日 14時) (レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)
美坂るぅ(プロフ) - 明咲こよりさん» 了解です。 (2017年2月5日 13時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
明咲こより - 美坂るぅさん» 申し訳ありません…urlを入れているのですが、画像が表示されません。もう少し試してみますので、少々お待ち下さい。 (2017年2月5日 13時) (レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)
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