水狐の魔法使い３

15章『希望の光』６ ページ13

一ページ目は、そこまでで終わっていた。次のページを開こうと紙に手をかける。


…しかし、リリシアの手が紙をめくることはなかった。リリシアの視界は、突如斜めに傾いたかと思えば、ぐにゃりと歪んだのだ。
自分の体が、何故か支えをなくして倒れ込んでいる。そう判断するにはあまりにも急な出来事だった。

まるで、自分がマリオネットで、ピンと張りつめていた糸が緩められたような感覚。何が引き金となったのかはわからないし、急激に眠気までが襲ってきた。

まだ、あの日記を読んでいたい…！
崩れ落ちながら必死に伸ばした手は、ただ空を切った。瞼を降ろそうとする自分自身をもどかしく思う。

地面に激突する！そう危機感を抱き、咄嗟に目を瞑ったが運の尽き。その瞬間に、リリシアは眠りに落ちた。

地面に激突することはなく、足元の水に触れた瞬間に、リリシアは姿を消した。それを取り巻くパステルカラーの空間には誰もいなかったはずだ。


『危なかった。』
そう空間に声が響いた気がしたが、空耳だったのだろう。

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