５章『杖探し・箒探し』７ ページ34
「次は、箒ね…」
そうリリシアがひとりごちると、手のシダレザクラの杖が震えた。
また何か話し始めるのかとリリシアは耳を傾けるが、今度は何の声も聞こえない。
代わりに杖はリリシアの手を離れて再び宙に浮きあがり、杖先をある方向に向けた。
完全にリリシアの意思ではない、杖の意思で。
ふとリリシアは、杖になる前のシダレザクラの言葉を思い出した。シダレザクラは『ハナモモがそなたに会いたがっていましたね。妾が案内して差し上げましょう』と言っていたのだ。
もしかして、そのハナモモの木の所まで案内してくれるのだろうか。
リリシアのその考えが伝わったのか、杖は依然としてわずかに宙に浮いたまま杖先を向けた方向に少し進んだ。
何かと案内されてばかりだなとリリシアは思うが、断る理由も特にはないし寧ろありがたいのでただ着いてゆく。
こちらは先ほどのようにさほど長くは歩かず、すぐにその木に辿り着いた。
その木は、シダレザクラよりももっと濃い桃色の花が咲いていた。
優雅に垂れ下がっていたシダレザクラとは打って変わって、その枝は高く天に向かって伸びている。
すると、ハナモモの木はこちらに気づいたかのように枝をピンと伸ばしたような気がした。木にも意思があることは先ほど理解したが、ハナモモも例外ではなかったようだ。
そんなことを思っていると『わぁ…貴女が水狐のプリゼノなのね？』という鈴の音のような声が頭に響いた。
シダレザクラの声とはまた違う、活発な少女のような声。シダレザクラはどちらかというと美しい若い女性のような声だった。
『もしよかったら…私を箒にしてくれるかな？』
枝をザワザワならし、まるでそわそわしているようなハナモモの木。声が聞こえて、しかも私を認めてくれている。ハナモモは私の箒になってくれるかもしれない。
「ええ！勿論よ！汝、我が箒となりて我に力を与えよ！イーテン、箒！」
そう唱え終わるや否や、ハナモモの木から光が漏れてまた目を瞑る。
目を開けると、私の背丈より大きな箒が浮いていた。柄の部分は緩く弧を描き、穂の部分は柔らかな枝でできている。
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コヨリ - たかさん» スプラトゥーンと全く関係ないですけどね(笑)。今後ともよろしくお願いします。 (2016年7月20日 22時) (
レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)
たか - 新作来たー (2016年7月20日 19時) (レス) id: 1f4e2973eb (このIDを非表示/違反報告)
阿須波(プロフ) - コヨリさん» あ、更新ヤッターって意味なんで大丈夫です。 (2016年7月17日 11時) (レス) id: 2cfe1139d2 (このIDを非表示/違反報告)
コヨリ - 阿須波さん» 最低一回は一日に更新するようにします…よほどのことがない限り (2016年7月17日 11時) (レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)
阿須波(プロフ) - 更新♪ (2016年7月16日 19時) (レス) id: 2cfe1139d2 (このIDを非表示/違反報告)
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