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5章『杖探し・箒探し』5 ページ32

やがて、漂っていた水は揺らめきながら形を作っていった。
現れたのは…


「fox…狐?」

そう、リリシアの目の前には宙に浮く透き通った狐がいた。尻尾と耳は、水なのにふわふわしていそうだ。

水の体を持つ狐は透き通った瞳でリリシアを見、ぐるりと辺りを見回してからスーッと空中をまるで歩くかのように移動してゆく。
狐の通った後には水滴がきらめき、地面にシトシトと落ちてゆく。

数メートル進んだ所で、今だにその場にとどまって驚愕しているリリシアを振り向いてジッと見詰める狐。

首をクイッと動かすその動作は、まるで「着いてきなさい」と言っているようだった。
着いてこいと言われては仕方が無い。再び進み始めた狐の後を必死に着いてゆくリリシア。

不思議なことに、狐は難なく木の隙間を器用にすり抜けてゆく。リリシアは遅れないように必死に枝をかき分け着いてゆくのみだ。


そして、狐の後を追って暫くした頃、不意に狐が茂みの向こうへと消えた。
しゃがみこんで辛うじて空いている隙間から体を半ば無理矢理入れるようにして滑り込む。

マントについた草や土を払いのけていると、自分の影に大きな別の影が重なっているのが見えた。


不思議に思ってリリシアは顔を上げる。








_そこには、見事な薄桃色の花を咲かせた大樹が立っていた。


見上げても頂点が見えないくらいに大きいその木は、太い幹を覆うように、隠すように薄桃色の花が咲いていた。
しかも、普通の咲き方ではない。太い幹から伸びた細い枝は垂れ下がり、その様はまるで薄桃色のシャワーのようであった。


「これは…weeping cherry tree?」

本に書いてあった挿絵よりもはるかに美しい。確か、『シダレザクラ』ともいった気がする。
狐が此処に導いてくれたのだろうか、そう思って狐の姿を探すが、その姿は何処にも見当たらなかった。

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コヨリ - たかさん» スプラトゥーンと全く関係ないですけどね(笑)。今後ともよろしくお願いします。 (2016年7月20日 22時) (レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)
たか - 新作来たー (2016年7月20日 19時) (レス) id: 1f4e2973eb (このIDを非表示/違反報告)
阿須波(プロフ) - コヨリさん» あ、更新ヤッターって意味なんで大丈夫です。 (2016年7月17日 11時) (レス) id: 2cfe1139d2 (このIDを非表示/違反報告)
コヨリ - 阿須波さん» 最低一回は一日に更新するようにします…よほどのことがない限り (2016年7月17日 11時) (レス) id: 67d07cb40f (このIDを非表示/違反報告)
阿須波(プロフ) - 更新♪ (2016年7月16日 19時) (レス) id: 2cfe1139d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:明咲こより | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年7月12日 16時

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