25-9 ページ10
.
すぐに駆けつけた七海君が抱き上げる。
「一体どうしたと言うんです!何か、呪霊から攻撃を?…そもそも任務内容に呪霊の討伐はなかったはずなのに…。」
『まぁ、良くあることさ…。呪物に惹き付けられたんだろうね。いやぁまさか、こんな所で残機を使い果たすとは思ってもいなかったよ。』
「残機…?何を言ってるんですか?」
不安げに揺れる七海君の瞳。
その視線に耐えきれなくて、私はそっと目を伏せた。
『…お別れだ。七海君。』
「…は?」
七海君はポカンとした表情で、私を見下ろしている。
そうだよね、分からないよね。
だって、言ってないもんね…。
『臆病でごめんね。結局君達に話せなかったよ。何でだろうね、最後まで嫌われたくなかったからかなぁ。』
「え、ちょっと待ってください、何の話をしてるんですか…!」
『卑怯でごめん。君達と出逢えた事を誇りに思うよ。ありがとう。短い間だけどこんな私と関わりをもってくれて。忘れないよ。生涯ね。』
「っ、だから、説明をしてください!なんなんですか!?遺言みたいに…死なないんですよね?倒れた事と関係があるんですか!?」
『うん。言っただろう?残機を使い果たしたってさ。死ぬ、とも違うけど…うーんと、ね….。
あぁ、ごめん…もう、限界かも…。』
「しっかりしてください!!こんな所で…!あ、連絡…誰か、五条さん、五条さんに!!」
今までに見た事もないほど焦った顔をした七海君が、私を抱えて走り出す。
お世辞にも居心地がいいとは言えないけれど、限界を迎えた身体と意識は強い眠気を誘う。
『…みんな、に、伝えて…?ありがとう、って。ずっと、迷惑かけ、て、ごめん、て。
たのしかった…。元気でね、七海、くん…。』
最後は、笑って。
私は目を閉じた。
.
144人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゃーちゃん - 尊いです…!!!!面白過ぎて一話から一気読みしちゃいました(*´ω`*)更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2022年8月8日 10時) (レス) @page35 id: e862c91e4d (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 紅蘭さん» ありがとうございます!なかなか更新出来ていませんが頑張ります( •̀ω•́ )و (2022年7月28日 23時) (レス) id: c9709ff1e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭 - 長く続いでますね〜!頑張ってくださーい (2022年7月21日 23時) (レス) @page27 id: cf67288c4e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みゆ | 作成日時:2022年6月25日 18時