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「…恵ぃ。稽古中に考え事なんて随分余裕が出てきたもんだね?」
「…っ、すいません。」
いつの間にか眼前に五条さんの顔があった。
そうだ、今は稽古中だった。
強くならなくちゃいけないんだから、考え事なんてしてる場合じゃない。
俺はすぐに謝り、五条さんを見上げた。
サングラス越しに見える特徴的な蒼い瞳が俺を射抜いている。
心の内を見透かされているようで、苦手だ。
けどこの人は、俺が苦手意識を持っている事に気付いててやってる。
だから性格が悪いって多方面から言われんだよ。
「ナニ考えてたのか当てようか?」
「いいです。どうせ合ってる。」
「ククッ、可愛くないなぁ。」
ケラケラと笑う五条さん。
何が楽しいんだか。
けど、空元気なのも知ってる。
この人は俺と同じく、…いやそれよりもAのことを考えてるから。
Aを見る目が、異常なんだ。
執着心に似たドス黒い愛情みたいなのを感じる。
初めてその表情を見た時は悪寒がした。
この人は、Aにとって危ない人間なんじゃないかと考えた事もある。
けど切り離す事なんて俺には出来ない。
そんな実力もなければ、覚悟もない。
だからこればかりは願うしかないんだ。
害にならない事を。
Aが目覚めた時に、何も起きない事を。
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にゃーちゃん - 尊いです…!!!!面白過ぎて一話から一気読みしちゃいました(*´ω`*)更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2022年8月8日 10時) (レス) @page35 id: e862c91e4d (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 紅蘭さん» ありがとうございます!なかなか更新出来ていませんが頑張ります( •̀ω•́ )و (2022年7月28日 23時) (レス) id: c9709ff1e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭 - 長く続いでますね〜!頑張ってくださーい (2022年7月21日 23時) (レス) @page27 id: cf67288c4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆ | 作成日時:2022年6月25日 18時