26-2 ページ21
.
高専の地下2階。
エレベーターで降りた僕は、Aの眠る部屋へと向かった。
既に習慣と化した恒例行事。
Aにより多くの呪力を渡す為に、今日も節約に節約を重ねて温存したんだ。
こんなイケメンで最強な僕に一途に想われてるなんて、オマエは幸せ者だね?
薄暗いその部屋に入れば、中央に置かれたベッドで変わらず眠るAがいた。
水晶玉のようなこの世で一番美しいと言っても過言じゃないあの紫色の瞳を、もう5年も見てない。
焦らすよね、ホント。
ベッドの側まで近寄って、Aの頬に手を当てる。
顔色も、体調も健康体そのもの。
5年も飲まず食わずで寝たきりなのに身体に変化の1つも見当たらないのは、Aの術式が関係している。
睡眠期にオートで発動してるようで、肉体を健康のまま保存しているというのかな。
包帯越しに六眼で視える、Aの身体全体を覆う呪力の流れからソレが読み取れる。
桜を死から遠ざけるその術式は、執念すら感じた。
生という呪縛でAを苦しめる忌々しいモノだと認識する反面、僕の生きている時代まで彼女を運んでくれた奇跡の産物だとも思っている。
だからこそ、僕の生きている時代で終わらせてしまいたい。
5年前にAに殺してやろうかと言った言葉は、僕自身の願いでもある。
だって、許せないだろ?
僕のいない世界で、Aが僕の知らない男に笑いかけているなんて考えただけでも虫唾が走る。
終わらせる、それを実現させる為にもAを目覚めさせる事は必要不可欠。
けど僕だって猶予がない。
今はまだ婚約者として匿っていられるけど、時が経つにつれてその効力も薄まる。
何故かと言えば、僕が五条悟だから。
後継者を作るのが務めでもある。
いつまでも寝たきりの婚約者にうつつを抜かす事は出来ない。
かと言ってA以外の女を好きになる事なんて天地がひっくり返ったとしても有り得ない。
政略結婚なんていつの時代の話だよ。
自由恋愛が主となった世の中でさ。
できる事なら、あと5年以内くらいには。
その為には、もっと多くの優秀な人材がいる。
現存するものなら、人で物でも利用しないと。
オマエの為なら、手を汚す事も厭わないさ。
.
144人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゃーちゃん - 尊いです…!!!!面白過ぎて一話から一気読みしちゃいました(*´ω`*)更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2022年8月8日 10時) (レス) @page35 id: e862c91e4d (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 紅蘭さん» ありがとうございます!なかなか更新出来ていませんが頑張ります( •̀ω•́ )و (2022年7月28日 23時) (レス) id: c9709ff1e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭 - 長く続いでますね〜!頑張ってくださーい (2022年7月21日 23時) (レス) @page27 id: cf67288c4e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みゆ | 作成日時:2022年6月25日 18時