04.《羊》 ページ6
｢……は？｣
｢んー、所謂前世ってやつか？あのクソ鯖庇って死んだと思ったらオギャーってな。しかもそこら中に能力者が闊歩してやがる｣
気が狂ったのかと思った、と中也はこの世界に生まれ落ちて始めて他人に弱音を吐いた
｢で、俺が何なのかは忘れていたが無意識に前と比べてたんだろうな。見えるもの全てが違和感しかなくて気持ち悪くて仕方ねぇ｣
眉を寄せて自身の胸元を掴む中也はとても苦しそうに話す
そこから大まかに語られる《羊》が出来るまで、にイレイザーヘッドは何とも言えない気持ちになる
……これは虚無感、か
《羊》は様々な事情により親に捨てられた子たちの集いである
目の前の中原中也と名乗った子供だけは自ら家を出たようだが、それでもまだ親の庇護を必要とする子供である
｢……大体は把握した。で、お前は何を望む？｣
｢何も。俺自身はどうなっても構わねぇよ。ただ、ここにいる《羊》の奴らはしっかりと身元が保証されたところに引き取ってくれ｣
なるほど、前世を覚えていると言った言葉は嘘ではない
いくら身体は小さかろうがそのサファイアブルーの瞳は庇護者の護る者の目だ
この子供は本気で《羊》を護る気だ
｢……分かったよ。アングラだがこれでもある程度の伝手はある｣
｢ならいい｣
ふ、と安心したように息を抜いた子供に益々興味が湧く
生来ながらのヒーロー気質とでもいうべきか、それがこの子供にはある
この子供がヒーローになった場面を想像して背中を走った感覚は高揚、だろう
話がまとまりかけた頃、突然扉がバンッと大きな音を立てて開かれた
｢っお前ら、向こうにいろって…｣
｢嫌だ！！｣
中也が注意するがその言葉を遮るように叫んだ子供
｢俺も嫌だ！！｣
｢行くなら中也も一緒だぞ！｣
｢中也は連れていかせねえ！！｣
続々と部屋に雪崩込んでくる子供たちが口々に発する言葉に中也の目が真ん丸になる
比較的年齢が上の子供が中也を守るように前に立ちはばかる
｢お前ら……なんで｣
｢中也は馬鹿だなあ。お前がいてこその《羊》だろ｣
中学生くらいの少年がそう笑って言った
その言葉に中也の瞳から涙が一粒零れ落ちた
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クロノト(プロフ) - 夢主男の子？女の子？ (2022年9月10日 10時) (
レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
苑歌(プロフ) - 面白いです！この話気に入っているのですが、もう更新されないのでしょうか？迷惑だったらすみません。 (2020年7月15日 11時) (レス) id: b9c45128c7 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - チョコ味の白兎さん» コメントありがとうございます。返信が大変遅れてしまいました。すみません。自己満足の小説ですが、好みと言っていただけて嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします^^* (2019年9月21日 12時) (レス) id: d3ef9add41 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ユキさん» コメントありがとうございます。返信が大変遅れましてすみません。応援ありがとうございます。嬉しいです。これからもよろしくお願いします^^* (2019年9月21日 12時) (レス) id: d3ef9add41 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ムゥクさんさん» コメントありがとうございます。そうですね、題名にもある通り少女なので中也は口調はそのままで女の子になってます。これからの展開を考えてわざと文章には明記していませんでしたが混乱させてしまい申し訳ありません…これからもよろしくお願いしますね^^* (2019年3月29日 8時) (レス) id: 768cad872d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みや
| 作成日時：2019年3月6日 16時
