05.最悪 ページ7
｢分かってるよ｣
イレイザーヘッドが俺の頭をぽふぽふと叩く
その言葉に俺を含めた《羊》がポカンと間抜け面を晒してイレイザーヘッドを見る
｢俺個人としてはお前たちを引き離すことはしたくない。だが、俺は今回依頼されてここに来ている｣
｢！！｣
｢だから、この件は一旦持ち帰るよ。色々根回ししてからもう一回ここに来る｣
真っ直ぐに俺を見るその目は曇りない綺麗なものだ
どうやら無意識に笑っていたらしい
｢ち、中也？｣
｢くくっ、いや……分かったよ。アンタが俺たちを迎えに来るまで俺が《羊》を守りきる｣
だから、頼りにしてるぜ？ヒーロー
俺の言葉にイレイザーヘッドは面食らったようなリアクションをしたがすぐに頷いてくれた
｢何度も言うが無理に俺まで保護する必要はねえ｣
｢中也！｣
｢俺はいくら自衛のためとはいえ力を使った。それも何度もだ。許されることじゃねえよ｣
絶対に警察、公安委員会にも目をつけられているはずだ
｢だから、こいつらを最優先で頼む。もし俺の処遇によってこいつらの不利になるようなことがあったら迷わず切り捨てろ｣
｢中也っ！！｣
制止するような悲鳴のような叫び声で名前を呼ばれるがこれだけは譲れねぇんだ
イレイザーヘッドが溜息を吐いてガシガシと頭を搔く
｢……ヒーロー舐めんな。お前に不利になることもさせねえよ｣
へえ、言うじゃねえか
｢なら、待ってるぜ｣
待っている、と言って別れた中原中也と名乗る子供と結んだ約束
書類上でもなくただの口上という拘束力の欠片もないものだがあの子供には大人を動かす何かがあった
｢……探すか｣
果たされると思われた約束が思わぬ形で破られるとはこの時、お互いに思っていなかった
災厄はもう、すぐそこにまで迫っていた
知り合いの伝手も利用してようやく《羊》全員の受け入れ先が決まり、再び会いに横浜を訪れる用意をしていた時、その知らせは届けられた
｢……は？｣
横浜で敵が集団で暮らしていた無個性の子供30人を"個性"で操り、引きこもり事件を起こしているというものだった
それも指名手配されている敵だというのだから事態は悪化の一途を辿っている
｢くそっ！｣
俺に要請が出たということはヒーローが子供を攻撃できないことを利用して盾として操っているのだろう
それに《羊》の王が操作されると不味い
俺の個性が効かない唯一の相手
《羊》唯一、随一の武力がこちらに牙を向く事態だけは避けたい
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 273人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クロノト(プロフ) - 夢主男の子？女の子？ (2022年9月10日 10時) (
レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
苑歌(プロフ) - 面白いです！この話気に入っているのですが、もう更新されないのでしょうか？迷惑だったらすみません。 (2020年7月15日 11時) (レス) id: b9c45128c7 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - チョコ味の白兎さん» コメントありがとうございます。返信が大変遅れてしまいました。すみません。自己満足の小説ですが、好みと言っていただけて嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします^^* (2019年9月21日 12時) (レス) id: d3ef9add41 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ユキさん» コメントありがとうございます。返信が大変遅れましてすみません。応援ありがとうございます。嬉しいです。これからもよろしくお願いします^^* (2019年9月21日 12時) (レス) id: d3ef9add41 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ムゥクさんさん» コメントありがとうございます。そうですね、題名にもある通り少女なので中也は口調はそのままで女の子になってます。これからの展開を考えてわざと文章には明記していませんでしたが混乱させてしまい申し訳ありません…これからもよろしくお願いしますね^^* (2019年3月29日 8時) (レス) id: 768cad872d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みや
| 作成日時：2019年3月6日 16時
