episode.29 ページ29
"私、そんなにお綺麗な子じゃ無いんです。私のこの手はとっくの昔に血で染まって汚れているんですよ"
そう文字を浮かべて笑った彼女はいつもの花の咲くようなものではなく、ふ、と風が吹けば今にも消えてしまいそうなほど儚く弱々しいものだった
｢なぜ泣くのを我慢する｣
無理して笑う姿が痛々しいことを彼女は知っているのだろうか
"泣く権利はありません。これは私の罪で、決して赦されるものではないんです"
余計に眉を下げて苦しそうな顔をしながらも決して涙を流さずふるふると首を横に振る
"この力をおばあ様やお偉い様は"祝福"って呼ぶんですよ。こんな人殺しの能力の何処が祝福だ、いくら相手が罪人だからって殺して良いわけが無いのに！！"
｢もういい…何も言うな｣
"こんな、こんなことを繰り返すなら……一生声が出なくなればいい"
｢……っ、A！！｣
我慢出来るはずがなかった
窶れるほど追い詰めた時以来、初めて呼んだ名前に伏せて影を作っていた長い睫毛が上がり、大きな目を真ん丸にさせた彼女の腕を強く自身に引き寄せた
相変わらず華奢な身体は簡単にこちらに傾き、ぽすんと腕の中に収まった
驚いたように見上げてこちらを凝視してくる彼女に思わず苦笑いが零れる
｢もう君は我輩を教授と呼んでくれないのかね？｣
思いもよらなかったのだろう、珍しくｷｮﾄﾝとした顔で見上げてくる彼女のころころと変化する表情が愛しい
｢もし君が、君が意図せずに力を使ってしまったならば｣
一度そこで区切りしっかりと彼女の瞳から目を逸らすことなく見つめる
潤んだその瞳には不安と驚きとほんの少しの期待が顔を覗かせていた
｢我輩が必ず止めよう。君がこれ以上傷つくことがないように、君から君を守ってみせよう｣
……だから、
｢だから、何だっていい。我輩に声を聞かせてくれ｣
彼女の瞳からはらりと1粒の雫が零れた
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みや(プロフ) - 麻さん» コメントありがとうございます！更新を止めて暫く経つのにコメントくださったんですね。嬉しいです^^*続き更新しました！これからもよろしくお願いしますね。 (2020年2月24日 19時) (
レス) id: d3ef9add41 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - サキさん» コメントありがとうございます！やめなくて大丈夫なように頑張って続き書きますね！これからもよろしくお願いしますね^^* (2020年2月24日 19時) (レス) id: d3ef9add41 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - クリさん» コメントありがとうございます。かっこよくて、たまに可愛い教授を目指して書いているのでそう言っていただけて嬉しいです^^*これからもよろしくお願いします。 (2020年2月24日 19時) (レス) id: d3ef9add41 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - あっちゃんさん» コメントありがとうございます。いい意味で捉えます！ありがとうございます^^*これからもよろしくお願いしますね。 (2020年2月24日 19時) (レス) id: d3ef9add41 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます！ようやく更新致しました！！これからもよろしくお願いします^^* (2020年2月24日 19時) (レス) id: d3ef9add41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みや
| 作成日時：2018年6月27日 16時
