ふたりの愛情論(仮)【赤井秀一】 (ページ20)

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一杯行っちゃう？ページ20

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『満身創痍の新堂ただいま戻りましたー』

いつもは軽々持てる鞄すら煩わしく、重たく感じる中。新堂はサイバー課から公安のフロアへと戻っていた。

志保の元を離れたときにはお日様さんさんだった空模様も、すっかり沈んで夜の装いだ。案の定、このフロアには人が多く残っているが。

「今日はずいぶんかかったな」

パソコンから新堂へと視線を移した風見は、目の疲労が耐えきれなくなったのか眼鏡をはずして眉間を押さえた。

『あんのクソオヤジ、よくもあんな嫌味が次から次へと出てくるよねー。‥って、誰が聞いてるか分からないから他人の悪口なんて大声で言うべきじゃないよ？風見くん？』

なんならまだまだ愚痴りたいことはあったが、奥のデスクからギロリと飛んできた上司の鋭い視線に、新堂は、あははと風見に笑いかけた。

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『風見は？今日本庁に来る予定じゃなかったでしょ』

一時的ではあるが、警察庁にできた仮デスクに鞄を起き、ジェンガ状態になっている書類に目を通し、優先順位を決めていく。

「僕が呼んだ」

そんな問いかけに答えたのは、降谷だった。

「遅れている案件があってな。無理を言った」
「いえ、もう終わりますから」
『降谷さんは、まだお仕事あるんですか？』
「いや、粗方終わったとこだが」
『だったら、皆で飲みに行きましょうよ！』
「飲み会と称して新堂の愚痴を聞かされるだけならごめんだ」

風見は冷たくあしらって、パソコンを閉じた。降谷が来ると言うならまた別の話であるが、新堂の独占場になるだけならごめんである。

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