あの男に、この男である。 ページ21
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「あら、飲み会？いいじゃなーい、みんなで行きましょうよ！」
そんな明るい声を出したのは、今の今まで書類の不備を指摘された付箋にキーキー言いながら、キャメルに押し付けていたジョディである。
3人の会話にはめっぽう興味が無い様子だったが、飲み会と言えば話は別らしい。
アメリカ人独特の陽気さを持ち合わせ、キャメルのネクタイをつかんで無理矢理この話に参加させている。
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『3対2です。参加組の優勢ですよ』
主催者の新堂、ノリノリのジョディ、一言も発することを許されないまま参加派に入れられるキャメル。日本にいようが、アメリカにいようが、彼の扱いは心底雑だ。
そんな中、たった今公安のフロアに足を踏み入れた煙草の匂いをまとった男に、キャメルはあっとした表情で声をかけた。
「赤井さん！赤井さんは、飲み会には参加しませんよね」
どうにかして、3対3に持ち込み、降谷の口で丸め込んでもらおうと言う魂胆である。
一方、赤井は目の前の状況に驚きはしなかったが、何事かとは思っていた。
公安部の真ん中のデスクに、大の大人が5人も集まっている。
一人はその碧眼を鋭く向けており、
一人はその眼鏡の下のつり目が疲れきっている。
一人は何か期待するように瞳を輝かせ、
一人はイエスとは言わせぬ雰囲気をまとい
最後の一人に関しては、首もとを掴まれたまま何とかしてその答えをイエスで引き出そうとしている。
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「いや、たまには良いが」
あっさり答えた赤井に、キャメルは落胆の声をあげ、降谷はため息をついた。
「ったくあの男は空気が読めるのか読めないのか‥‥。ヒナ、店はお前に任せる。その代わり、明日もあるんだ。長居はしないぞ」
諦めた降谷は明日の仕事のことを考えながら、普段ならきつく締め付ける財布の紐を少し緩めることにした。
新堂はそうこなくっちゃ、とウインクをしてスマホを開いて店探しを始めた。
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作者名：ハル | 作成日時：2021年9月16日 19時
