今度の審神者は超怖がりでした (ページ36)

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薬研さん目線の主の行動ページ36

薬研side

目を擦りながらロウソク片手に歩いてくる黒い影。
大将だ。俺っちと五虎退は廊下の影に隠れた。

((上手くかかってくれよ？))

今回の、誰が1番主に驚かれなかった選手権という本当の裏話は｢主の怖がりを鍛えよう！｣という謎の大会だった。つまり、普段怖がりまくってる主を逆にもっと怖がらせてビビらせてそれを鍛えることで免疫が出るんじゃないかという事である。

｢なんで･･･みんな、居ない･･･｣

しょぼくれた大将はレアだな。何時もは俺っち達と遊んでるもんな。

どうか俺っちと五虎退が作り上げた《こんにゃく道》に反応を示してくれ。
そう願いながら身を潜める。

すると、ブチッという音が辺りに響く。
何事？とロウソクの光を少しだけ上に向けると･･･。
大将が、こんにゃくの紐ぶち切ってた。
そして、廊下の奥に投げた。それも目に見えない速さの魔球で。

｢5番、Aピッチャー･･･投げました･･･｣

ドンガラガッシャァァァン！！

おいおい、嘘だろう？こんにゃく全てを台所の方へ投げ続けていく。
その度に物凄い音が鳴り響く。

｢すとらいーっく！ばったーあうとっ！｣

謎の言葉を発しながら目を擦る大将。バケモンか。
五虎退は今でも泣きそうだ。でもバレないように
必死に抑えている。

｢はわわわわわわわ･･･！｣

｢大将、やべぇな。こりゃ･･･俺っち達には無理だ｣

こんにゃくで驚くと思ったのに、いや、時が悪いのか？この前昼にこんにゃくペタリしたら

｢うぉおおおお！はかいこうせんんんんんん！｣

なんて、うるとらまんとかいうやつの必殺技を繰り出していた。それは正義の英雄がやることか？
はかいこうせんって･･･破壊しちまってるだろ･･･とか思っていたが･･･。

今の大将は違う。寝ぼけているだけ･･･なのか？
そんな事を考えていたら大将が目の前にいて。

｢君らも･･･俺の超高速球で投げ飛ばされたい？｣

なんて笑いながら言い、更にろうそくの火が丁度大将の目に被さったのか、ぎらりと光った。

｢ぎゃあああぁあああああぁあぁっっっっっっっつ！！！！｣

五虎退の限界。その声は本体中に鳴り響いた。
俺っちと五虎退の努力は水の泡になってしまった。