お化け(怖くないよ) ページ1
「ぎゃぁああぁあああ!」
午前二時。突然大きな声がしたのでムクリと体を起こす。廊下を目を擦りながら見ると、隊士が尻餅をついてカタカタと震えていた。
『・・・・・・どうしました?』
「ぎゃぁああぁあああ!」
『・・・・・・どうした?』
「ひぃいいい!」
『・・・・・・』
「おぅおあああっ!」
俺は溜息をつきもう一度聞く。
『どうしました?』
「お、おば、お化けが・・・」
『・・・・・・はぁ、そんな事か』
隊士は俺の脚にしがみついて指をさす。そちらの方に目を向ければ見事にお化けと呼ばれた人物がいた。俺は隊士さんを慰めながらそちらに近づく。
『・・・・・・どう致しました?』
「・・・・・・あ・・・あ・・・ぁ」
『・・・カオナシ・・・ですか?』
お化けさんは、白い服と言うより黒く赤く濁った色の服を着ていた。よく見ると真選組の隊服。という事は。以前ここで働いていた人。
『真選組・・・・・・の方ですか?』
こう述べればウンウンというよりブンブンと首を振る。首もげるんじゃね?と思うぐらいブンブンする。
『そんなに首振られたら首とれちゃいますよ・・・』
「・・・・・・ぁ、、あ、、・・・」
『俺?なんで見えるか?』
「・・・ブンブン!」
縦に首を振る彼は俺を不思議そうに見ていた。向こうから近づいてきて霊感があるんだろうか隊士さんはもう気絶していた。真っ赤な色がついた服をずりずりと引きずりながら歩いてくる元隊士さん。
『死神だからです・・・あ、そんな怖がらないで』
元隊士さんは一歩後ろに下がった。死神と言うと皆怖がるのだ。そんなに怖いか。俺が。
「・・・・・・あ、ぃ、ああ・・・」
『・・・・・・成仏したいけど仲間が心配で来てしまった?だから、この山田さんを・・・・・・あぁ。もしかして二番隊隊長さんですか?』
トシ兄に聞いたところ、全二番隊隊長が殉職してしまったと。戦死してしまったのだ・・・と怖い顔で言われた。
こくこく頷く彼は心配そうに俺を見た。
「・・・・・・あぁ、う、、」
『・・・・・・大丈夫ですよ。二番隊は・・・。皆さん元気です。俺?今貴方の代わりで二番隊隊長を勤めてます』
俺はなるべく優しく言った。彼がボロボロ涙を流して俺を見つめた。元隊長さんは極度の心配性だったのかもしれない。襲う気もないのに山田さんをビックリさせてしまい、話も通じる人がいなくて寂しかったのだろうか。
『少し、お話しましょうか』
そう言うと彼は頷いた。
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Lime(プロフ) - 【死神くんは真選組】めっちゃ面白いです!主人公の過去とかもしっかりしてるし想像力豊か!!僕原作沿いの小説苦手で非原作沿い漁ってたんですけどとてもいい作品に出会えました!!更新ゆっくりでいいので待ってます! (2022年7月5日 22時) (レス) @page48 id: 9dc1bcf53d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のろすけ | 作成日時:2019年6月17日 19時