手加減 ページ28
『ッ・・・!』
「ほらほら、早くしないと斬られちゃうよ?」
蹴り飛ばされて地面に転がり浅い息を漏らす。人斬りはピンピンしていたのに俺は段々と体力が減っていく。
「肩を狙っちゃおっかなぁ」
と言われ、防御姿勢を立て直すが既に肩に刀は貫通されていて激しい痛みに襲われる。
『ぐぁあぁあっ!』
「いいねぇ、お前さんの血・・・」
引き抜かれ飛び出す血が男の刀を赤く染める。ソレをゆっくりと舐め上げ舌なめずりをする。
「もっと欲しいなぁ・・・腹とか、脚とか・・・若い男の血は美味いなぁ」
『ッあぁあああ!』
ザクザクと斬られ動けなくなり俺は悲鳴をあげる。もうそろそろ意識が朦朧としてきてフラフラと千鳥足になる。
お兄をわざと反対側に出向かせたのが馬鹿みたいだった。これでは俺が自業自得である。自分で自分を殺しに行ったようなものだ。
今更お兄に助けを求めることなんて・・・。
「そろそろメインディッシュにしようかねぇ」
ガクリと膝が落ち、肩で息をしながら刀を身体の支えとして立つ。色々な所から流血しており男はそれを見て興奮するかのように笑っていた。
『お兄・・・・・・た、すけて』
「ん?お前さんの命乞いもそそるなぁ・・・誰も助けには来ないだろう。お前さんは1人で来たんだ!」
『・・・・・・確かに俺は、一人で来た。けど、見廻りは2人以上なんでね・・・』
「何モタモタしてるんでさァ・・・現次」
俺は安堵した顔で後ろを振り返る。そこにはお兄が立っていた。
『ごめん。人斬りって言うからお兄いい所持って行って貰いたくて・・・かなり弱らせといたから』
よっこらせと立ち上がる俺に人斬りはギョッとした。
「な、、い、一番隊隊長沖田総悟!」
総「・・・まだ怒ってる?」
『もう許した。俺の前で喧嘩はやめてよな』
総「・・・もうしやせん。」
『ん・・・』
「む、無視をするぬァァ!弱らせといたとはどういうことだ!舐めているのか?この柘榴を」
『・・・・・・ピンピンだとアンタ俺達を倒す可能性あるだろ?だからゆっくり体力消耗と傷をつけた。俺が怪我したのはわざと当たったからだよ、弱かっただろ?』
「わ、わざと?!舐めやがって・・・・・・」
うぉおお!と雄叫びを上げながら走ってくる人斬りはすぐさまお兄の手によって倒された。
総「よっわ・・・なんでこんな奴相手に手加減してたんでィ・・・斬っちまえばいいのに」
「いい所持ってくと怒るのに?w」
チーンした人斬りはお縄に着いた
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作者名:のろすけ | 作成日時:2019年6月9日 22時