夜の見廻り ページ25
沖田side
「今夜の見廻り、現次とだけど大丈夫か?」
と土方さんに言われ困惑する俺。怒らせたのは俺であってまだ機嫌がクソ悪い野郎と一緒に行くのは勘弁だった。
『大丈夫でさァ、何とかなりやす』
一応こういうが、本心はNOである。土方さんより怖い彼奴と一緒にいくのだ。怖い。
「なら、もう彼奴は玄関で待ってるから」
気をつけろよ?と苦笑いするのが気に食わなくて隣に置いてあったマヨを外に投げると俺はそそくさ出て行った。
「限定販売に何してくれてんだァァァ!!」
そんな声が聞こえたが無視した。
玄関に着くともう野郎は待っていて俺は静かに靴を履く。
『・・・なぁ、今日俺とお前だっ「知ってる・・・」・・・』
俺はその後無言になってしまった。怖くて。あんなに優しかった彼奴が別人の様に変わってしまった。
「今日一緒だって!」なんて嬉しそうに笑ってた彼奴は一体何処へ・・・。
「・・・・・・さっさと行くよ」
『・・・おう』
江戸の町を歩く2人。俺は右端、彼奴は左端を歩く。
気まずい雰囲気で冷たい空気が流れ出す。聞こえてくるのは犬の遠吠えとジャリジャリと軽く響く砂の音。月夜の明かりでまぁまぁ道が見える。
「・・・・・・俺左行くから総悟は右、行ってくれる?」
『はひっ!』
思わず変な声が出る。ソレをガン見してから現次は左へ曲がって歩いていく。取り残された俺は反対方向に歩みを進める。思春期ってこんな感じだろうか。俺に関してはただ単に怒らせただけなのだが。
月夜の晩、人気のないこの江戸の町で人斬りが現れるなんて事はまだ俺には分からなかった。
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作者名:のろすけ | 作成日時:2019年6月9日 22時