第19話 ページ19
｢で、持ってる情報全部吐け｣
｢嫌です｣
総悟兄が俺の事をばらした。
バラしたから近藤さんも土方さんも俺の病室に来ている。
｢総悟に聞いたんだからなコッチは｣
｢総悟兄の空耳かもしれないじゃないですか｣
｢彼奴がどうでもいいこと以外大体お前の話するのにお前の情報嘘つくはずがねぇ！｣
｢まぁまぁ、トシ。カツ丼でも食って落ち着け｣
｢そうだそうだトシ。カツ丼食えトシ｣
｢なんで俺が質問される方向になってんだよ！！お前だろうが！｣
近藤さんが目の前に置いてくれたカツ丼を俺のベッドの上の机に置いた。
｢えぇ、俺患者ですし。カツ丼なんか食べたら死にますって。土方さんの胃じゃないんですから｣
｢お前兄と同じく土方さんいじり大好きだな｣
で、早く情報出せ！とバンバン机を叩かれ、俺はそっぽを向いた。
｢吐く気がねぇなら、お前を上に報告してもいいんだぞ。そしたらお前の立場、どうなるんだろうな。俺たちゃ知ったこっちゃねぇし。お前の兄貴も、そういうんだろよ｣
｢･･････お、れは･･･桂小太郎の･･･密偵、なんです｣
｢は？｣
｢なんだと？｣
｢･･･それも、現在進行形で｣
｢桂、だと。お前･･･よく真選組に来れたな｣
土方さんは血相を変えて俺を見た。
その視線にグッと堪えながら話す。
｢元々は姉上のお身体を治す為に総悟と仕送りをしていて、その資金を密偵で稼いでいたんです。
けれどある日気づいてしまった。何も伝えずに江戸に向かった兄が真選組にいると、知ってしまったんです。
姉上が亡くなったあの日、兄がベッドに横たわる姉上の傍にいたのを見て･･･。正直怖くなりました。何せ、兄が敵対する桂一派に実の弟がいるのだから。
･･･その正体をバラさずに如何に相手の懐に入るのが密偵ゆえ、こんな事を･･･｣
｢で、これからどーすんだよ。お前は。俺達に情報バラしてもし上に言ったらどーしてたんだよ｣
｢それは、、やっぱり死ぬしか｣
｢まだ19話しか行ってないのに死ぬとかやめろよお前｣
｢遠回しで死ねっつったのアンタでしょうが！！！｣
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作者名：のろすけ | 作成日時：2022年6月22日 7時
