第15話 ページ15
ガキン、ガキンと刃が擦れ火花が散る。
あの後、気を取り直して逃げ回る攘夷志士を切り倒しながらAは奥へと進んだ。
いきなり真選組が来たのだから焦るわ焦るわ。
奴らは刀を出して反撃してくる。
それをヒョイヒョイと避け、叫び声がする方に刀を刺せば志士は倒れた。
「だいぶ奥へと来たかな・・・」
ここは・・・と周りを見渡すとパァン!!と左腕と右の横っ腹を弾丸が貫いていく。
「ぐぁっ・・・!!」
よろめいて辺りを見回すと上からキランと光るものが見えた。
背後から気配がしてパァンパァン!!と敵が飛ばしてきた弾丸を刀の刃で誘導しながら上に向かって投げた。
「ぎゃあ!」
「ぐっ!!」
「ほぅ・・・まさか、こちらについていた童が真選組についたとはな」
「・・・・・・桂さん」
桂さんとは、攘夷志士のドンである桂小太郎である。
そしてその隣には俺の兄貴分エリザベスさんが泣いていた。
「分かる、分かるぞエリザベス!!うっうっ、何故お前は裏切ったのだ!!!何故だ!!!!」
「だって、スパイですから」
「うっうっ・・・沖田マザーテレサ!!戻ってこい!!こっちの方が楽しいでは無いか!!断然!次はみんなでパンケーキ作ろうと申してたではないか!!何故!何故なんだ!!」
「だって、スパイn」
「ええいうるさい!!!!!俺は!お前といる時が楽しかったのだ!!」
「桂さん・・・俺は、まだ裏切るだなんて言ってませんよ」
Aは、静かに言った。
その言葉に桂さんは顔をポカンした。
エリザベスさんもだ。
「俺はまだ、攘夷志士を裏切るとは言ってません。次のパンケーキ作りは参加しますから、ちゃんと日にち教えて下さいね・・・」
「ほ、本当か?沖田マザーテレサ・・・?」
桂さんはとてもいい人だ。エリザベスさんもいい人だ。だから攘夷志士の密偵として働いていた。
唯一俺を「沖田総悟の弟」と分かっていたのは御二方で、「何かあったら呼ぶんだぞ」と優しく声をかけてくれた。
そんな人を裏切られないと、その良心が俺を苦しめた。
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作者名:のろすけ | 作成日時:2022年6月22日 7時