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「いや秀樹さん、順序ってものがあるでしょう…」
「え…?」
「秀樹さんのことだからふたりきりにしたら何かアクションはするだろうなと思ってましたけどどうして全部吹っ飛ばしていきなり告白しちゃうんですか…」
「え…?え…?」
壮真が何を言ってるか分からない。
「壮真もしかして、俺がこいつのこと好きなの知って…?」
「知ってましたよ」
「「え」」
思わずAとふたりで壮真の方を見る。
「いやだって、Aさんと話してる時の秀樹さんめちゃくちゃ楽しそうでしたもん。視線も優しいし。まぁ多分無自覚なんだろうなとは思ってましたけど」
「そうだったの…?」
「そうだったらしい…やべぇ全然自覚なかった…」
壮真の言葉に彼女とふたりで唖然とする。
「すみませんAさん俺が迂闊でした。まさかこんな早々に告白するとは思ってませんでした…」
何故か、壮真がAに謝る。
すると、彼女が手を口元に当てぷるぷるし始めた。
「壮真、秀樹の恋路までコントロールしようとして、うわっ、手綱握られて、うわっ、、」
また訳の分からないことをAが言う。
「秀樹さん、言ったじゃないですか。Aさんは俺たちそまひで推しになっちゃったんです。秀樹さんが越えなきゃいけないのはAさんの中の自分と俺ですよ」
もう壮真も何を言ってるか分からない。
ん、待てよ…?
そこであることに気づく。
「俺がフラれたのって、言うなれば俺と壮真が一緒にいるのが好きだからってことだよな…?」
「まぁ、平たく言えば…?」
「別に他に好きなやつがいるわけじゃないんだよな?」
「私が好きなのはそまひでだよ」
ややこしいな…
でも…
「じゃあ俺、お前のこと諦めない」
「!?」
「秀樹さん?」
驚いた表情で壮真とAがこちらを見る。
「自分に負けるの悔しすぎるから、ぜってー振り向かせてやる」
「おお」
「ちょ、本気…?」
訝しげにこちらを見る彼女に、ああ、と短く返事をする。
その返事に彼女はちょっと困ったような表情をした。
俺の告白は空振りに終わってしまったけれど、おかげで新たな目標が出来た。
いくら困らせたって構わない。
いつか絶対好きだって言わせてやる。
そうして、"そまひで"が大好きな俺の想い人と俺、そしてどっちつかずな壮真との不思議な関係が幕を開けるのだった。
𝑭𝒊𝒏.
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作者名:星見杏世 | 作成日時:2023年10月8日 3時