5話・奇妙なスケルトン ページ6
完全に敵意剥き出しでAを見下ろすスケルトン。
そんなモンスターに息を呑んだ。トリエルのように最初から優しい相手ではない。
そして、その手には携帯が握られている。
誰かに連絡するに違いない。その誰かが分からない以上何とか阻止しないと。このスケルトンのように警戒心が高いモンスターを沢山呼ばれたらたまったもんじゃない!
携帯に言葉を発しようとするスケルトンにAは親友の名前を叫んだ。すると、ピタリと動作を止めた相手に訴えかけるように目的を伝えた。
「私はあの子を探しに来た!!あなたたちモンスターに危害を加えるつもりはない!だから、お願いッ…あの子に会わせてほしいの!」
その言葉に意外にもスケルトンは納得したのか背中から降りてこちらに手を伸ばした。
「あ、ありがとう」
立ち上がらせてくれるのかと手を掴むとグイッと引き寄せられて間近で目と目が合った。
スケルトンは動揺した顔を浮かべていてこちらを見つめる瞳は絶え間なく左右に揺らいでいた。
「アンタ、もしかして5番目のヒューマンの…」
その後の言葉に親友の名をスケルトンは口にした。
「あの子のことを知っているの!?」
思わず大声で問いかけてしまったが、特に文句を言われることはなく、目を逸らされた。
「…あぁ、そうか。アンタが…まぁ、事情は知ってる」
スケルトンは微妙な顔をして何か考え込んだ後、携帯をしまった。
「通報しないの?」
最初に応援を呼ぶつもりだっただろうに。その疑問に対してスケルトンは答えることはなかった。掴まれていた手は離されて彼は一歩後ろに下がった。
そして、チラリと再びこちらに視線を戻した。ジッと顔を見つめてくる。
「あの…私の顔に何かついてる?」
「さっき、顔ぶつけたのか」
そう言われて押し倒された時に地面に顔をぶつけたのを思い出す。傷がついたのだろうか。今更ズキズキ痛み出したが、それほどでもない。
だが、スケルトンは顔を俯かせてばつが悪そうにした。
「アンタだと分かっていれば傷つけるつもりなんて…いや、悪い。忘れてくれ」
スタスタと橋の向こうへ歩き出すスケルトンに慌てて声をかけるが、振り向く様子はない。
そこで青いパーカーの裾を引っ張った。驚くスケルトンにAは笑顔を浮かべた。
このスケルトンは悪いモンスターではない。
「ねぇ!名前…名前を教えてよ!」
そう聞けば、彼は大袈裟に見開いた後にポツリと「Sans」と答えたのだった。
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レイさん - 最後まで読みました。まじで泣きましたね))))号泣です(`;ω;´)作者さん神様かな?そうだね。次回作にも期待です(´;ω;`) (2023年2月26日 18時) (レス) @page28 id: fadc276a96 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - P様さんさん» コメントありがとうございます!原作がとても素敵なのでその設定を存分に活かした物語を書きたいと意識していました!そこを褒めて下さって嬉しく思います!他作品も読んでくれるんですか!?本当に喜びで胸がいっぱいです!最後までありがとうございました! (2022年12月19日 17時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
P様さん - なんというか……お話しの入れ方が本当に神ですね!元々ある設定を活かしつつ、夢主とかのキャラを入れていくのがめっちゃ凄いと思いました!主様の他の作品も読んでみることにします! (2022年12月19日 16時) (レス) @page29 id: 44cbacd699 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - アレンシスさん» コメントありがとうございます!濃い友情物語に付き合ってくださって感謝です!それも最高だと言ってくださり本当に嬉しいです!くどくない恋愛…私に書けるでしょうか(笑)ですが、あっさりした恋愛も書いてみたい思いはあるので機会があればよろしくお願いします! (2022年8月23日 20時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
アレンシス(プロフ) - 本当に最高すぎません?面白すぎです!!!最初はやっぱり恋愛かな?と思っていましたがやっぱり予想を遥かに上回った友情で文句なんてないぐらい最高でした!次回作があれば今度こそ恋愛書いて欲しいです!出来れば余りくどくないやつを、、楽しみにしてます! (2022年8月23日 20時) (レス) id: 47ccef0445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2022年8月12日 0時