「最高の嫌がらせ」を生涯に刻む【Undertale】

１６話・無責任な者は断罪せよ ページ17

SansはAをスノーフルの宿泊所に置いて王宮へと向かった。

どうかAを見逃して欲しいと嘆願するつもりだった。

また、人間の魂を使う以外のバリアの破り方を模索する提案も脳裏に浮かんでいた。

Sansは自分の頭脳に自信があった。見張り役から研究員として身を粉にしてでも解決策を探し出すつもりでいたのだ。

だが、Aを連れずに王宮へ入るや否やSansへの罵倒が飛び交った。そして、王の元へ半ば引き摺られるよう連れて行かれて周りのモンスターたちに一斉に責め立てられた。


「お前は何のために見張り役をやってたんだ！？」

「今回の子どもだけ特別扱いするのか？」

「最初に責任を持つと言い出したのはお前だろうが！」


モンスター側からすれば真っ当な意見ばかりであり、言い返す余地すら与えられない。

そして、何より一番心に突き刺さった言葉。


「5番目の子どもはお前が通報して見殺したくせに。今更、偽善者ぶるなよ」


どこかの誰かが呟いた。Sansは奥歯を噛み締めて俯いた。何も否定できなかったのだ。

人間の魂を狩るというモンスターたちの意志はそれほど固かった。Sansだけの意見で変えられる状況ではなかった。

それを見兼ねたアズゴア王はついに口を開いた。


「Sans。キミは確かに責任を取ると言った。6番目の人間を殺すと。その責任は何より重く、覚悟して宣言したんじゃなかったのかい？」

「…」


返す言葉もなかった。ただの口約束で済ませられないほどの重い言葉だった。取り消すことは簡単にできない。

アズゴアは溜息をついた。そして、険しい顔から優しげに笑った。


「Sans…いいんだ。キミは5番目の子も今回の子も深く関わりすぎた。庇いたくなるのは当然だ。だから、"キミは"責任は取らなくていい」


キミは？という言葉に顔を上げて周りを確認すればモンスターの数が減っている。猛烈に嫌な予感がした。


「別の者にあの子をここへ連れてくるよう命じた。今まで通り私が人間の魂を奪おう。だから、Sans。キミはここにとどまってくれればそれでいい」

「〜ッA！」


アズゴアの言葉を聞くや否やAの元へ駆け出そうとした。しかし、


「Sans゛！！！」


怒声に近い声でアズゴアに引き止められた。

思わず足を止めて振り返ってみれば、アズゴアは怒っているのではない。誰よりも辛そうに顔を歪めていたのだ。


「キミは一体何を考えているんだ？」

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