プロローグ ページ1
＿＿＿＿＿＿＿＿
上空から降り続ける雪によって辺り一面が白に覆われた世界。
その中心に倒れ込んだ人間は足から血を垂れ流して浅く息を吐く。
白い息が空気に吸い込まれていくのを眺める人間にふと影が差した。
「…悪く思うなよ。オイラは人間の見張り役としての義務を全うしただけだ」
瞳という概念がないのか真っ黒な空洞の両目を人間に向けるスケルトンのモンスター。
そのモンスターに人間は笑みを浮かべた。
「恨んでなんかいないさ。Sans。逆に僕は感謝しているんだよ。ここまで生かしてくれたこと」
「…」
人間の言葉にスケルトンは先程の瞳すら映さない怖い顔をやめて青い瞳を揺るがして困惑するように口角を下げた。
しかし、動揺を振り払うかのように軽く声を上げて笑った。
「heh。そうかい。だけど、ここまでだ。これからお前の魂は王に献上される。地上へのバリアを破るためにな」
「…知ってるよ。Sansはこれから僕の身柄を引き渡しにいくんだね」
何もかも見透かされているようだとスケルトンは肩をすくめた。やはりこの人間は今まで出会ってきた者の中で苦手な方だと。
「だけど、よかった。キミの手で殺されずに済んで」
「なんでそう思うんだ」
「だってキミはこの世界で一番最初の友達だから。そんなキミに殺しの罪悪感なんて背負わしたくない」
「…馬鹿なんだな。アンタは本当に…馬鹿だ」
どこまでも「親切」な意志を貫き通して死ぬことすら恐れず、喜んでモンスターの為に魂を捧げる姿。
スケルトンの少しばかりの情を動かした。
「なぁ、5番目のヒューマン。最後に言い残すことはあるか？」
足からの出血で意識朦朧としてきた人間。寒さによって紫色に変色した薄い唇を力一杯動かした。
「…A。地上に残してきてしまった大切な親友。きっと僕を追ってここまでやってくるかもしれない。その時はッ…Sans。約束してほしい。どうかあの子を…」
続く言葉はスケルトンの耳には届かなかった。
既に気を失った人間をスケルトンはただ見下ろした。人間の続いたであろう言葉を頭の中で反芻して。
そこに駆けつけた鎧を身に纏った魚のモンスター。放心するスケルトンを気にもせず、倒れた人間を担ぎあげてあっという間に去っていった。
最後までお人好しな笑みを浮かべた人間。連れて行かれた先には死が待ち受けている。
人間の見張り役として義務を終えたスケルトンの心に根強く残ったものは、託された約束であった＿＿＿＿＿＿
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レイさん - 最後まで読みました。まじで泣きましたね))))号泣です(｀；ω；´)作者さん神様かな？そうだね。次回作にも期待です(´；ω；｀) (2023年2月26日 18時) (
レス) @page28 id: fadc276a96 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - P様さんさん» コメントありがとうございます！原作がとても素敵なのでその設定を存分に活かした物語を書きたいと意識していました！そこを褒めて下さって嬉しく思います！他作品も読んでくれるんですか！？本当に喜びで胸がいっぱいです！最後までありがとうございました！ (2022年12月19日 17時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
P様さん - なんというか……お話しの入れ方が本当に神ですね！元々ある設定を活かしつつ、夢主とかのキャラを入れていくのがめっちゃ凄いと思いました！主様の他の作品も読んでみることにします！ (2022年12月19日 16時) (レス) @page29 id: 44cbacd699 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - アレンシスさん» コメントありがとうございます！濃い友情物語に付き合ってくださって感謝です！それも最高だと言ってくださり本当に嬉しいです！くどくない恋愛…私に書けるでしょうか(笑)ですが、あっさりした恋愛も書いてみたい思いはあるので機会があればよろしくお願いします！ (2022年8月23日 20時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
アレンシス(プロフ) - 本当に最高すぎません？面白すぎです！！！最初はやっぱり恋愛かな？と思っていましたがやっぱり予想を遥かに上回った友情で文句なんてないぐらい最高でした！次回作があれば今度こそ恋愛書いて欲しいです！出来れば余りくどくないやつを、、楽しみにしてます！ (2022年8月23日 20時) (レス) id: 47ccef0445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2022年8月12日 0時
