29話・大切な友の願いを叶えよう ページ30
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ドンッ!と放たれた銃声に彼女の腹部に空洞が開いて血飛沫が舞った。
「ハ?」
重力に従って倒れていく彼女の向こうで憎たらしい人間が銃を片手にゲラゲラと笑っていた。
「やっぱりアンタはずっとそう!モンスターばかり庇って気色悪くて仕方がなかった!せっかくあたしがまともな人間にしてあげようと思ったのに!モンスターの手を取るぐらいならいらないんだよッ!!」
ギャハハ!と狂ったように笑い続けるソイツは最初からAのことなんて友達とすら思っていなかった。
「オイ」
「あ?なんだよ、モンスターが人間様に話しかけてんじゃね…ブッ」
ペラペラと喋る口に骨を突き刺して貫通させた。苦しそうにもがきながらあっさり倒れたソイツから目を逸らした。もっと残酷に痛めつけてグチャグチャに跡形もなくすればよかった。よかったが…ッ…
そんなことに時間を費やす暇もない。倒れたAの元へ駆け寄った。
「〜ッA!A!A!!」
彼女の頭を持ち上げて自身の膝の上に置いた。うっすらと瞳を開けた彼女は頬にツーッと静かに涙を流していた。
「ご…めんッ…ごめんね。私…あの子を信じちゃった…ハハッ…まさか親友に撃たれるなんて…」
「もうあんな奴のことなんてどうでもいい!それより止血を!」
撃たれた腹部を手で塞ぐがドクドクと血が流れ続けて止まらない。なんで止まらないんだ?人間ってこんなに脆かったのか?なんで、なんで、なんでッ!!?
「サンズ…サンズ…聞いて」
下から頬に彼女の綺麗な手が伸びてきてハッとする。見下ろせばAは笑っていた。
「私ね…サンズと仲直りできてよかった…こんな形でやっと仲直りして遠回りしたよね…けど、わたしね…ずっと…本当は堂々と誰の目も気にせずサンズと友達でいられる世界で過ごしたかった」
「!…ああ、オレも…オレもだよ…ッ…」
「昔のこと、覚えてる?サンズが暮らしてた地底に行ってみたいって…もし、叶うならサンズと…ッ…」
笑っていた顔が崩れてクシャクシャな泣き顔で彼女は願いを口にした。
「そこで、二人だけの世界でもう一度やり直したい」
ぶわりと涙を溢れさせて彼女は最後、首に腕を回してギュッと抱き締めてくれた。
「大好き、サンズ。貴方だけが本当の…ッ…ほんとうのたった一人の大切な友達だった」
そう告げた最後、抱き締める腕が緩んで彼女はパタンと力なく腕を下ろし、その目を開くことはなかった。
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リリィ・スノー(プロフ) - すごくいい作品でした。シナリオ、終わり方など、感動してしまいました。この作品に出会えてよかったです。とっても私の好みにどストライクで… (2023年3月18日 10時) (レス) @page34 id: 24a11843b1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - P様さんさん» P様さん!こちらの作品も読んで下さりありがとうございます!貴方様に感動を与えることが出来て嬉しく思います!イラストまで褒めていただいて…作者は幸せ者です😭最後までありがとうございました! (2022年12月19日 17時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
P様さん - 読み終わりました!!泣きました!!最高です!小説もそうなのですが、イラストも大好きです! (2022年12月19日 16時) (レス) @page34 id: 44cbacd699 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ユンユンさん» コメントありがとうございます!最高だなんて…素敵な褒め言葉をいただいて嬉しいです!また、すれ違いシチュエーションは本当に美味しいですよね!(?)私も大好物です!貴方様を楽しませられて本当によかったです!ありがとうございました! (2022年12月19日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
ユンユン(プロフ) - 一言言わせていただきます。最高です!!!私も時々喧嘩とかすれ違いのシチュエーションを考えるんですが、もうこの作品は私の大好きストーリードスレートでした!そして泣きました!これからも応援してます! (2022年12月18日 22時) (レス) @page34 id: 34d5562353 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年12月5日 0時