17話 ページ18
「Sans」
新たにオイラの名前を呼ぶ声がした。
振り向けば少女の姿。Aじゃない。ボーダーの服を着て、随分前から見慣れた顔のやつがそこにいた。
「フリスクか…久しぶりだな」
「Sansが人間に関わってるって風の噂で聞いて来ちゃった。珍しいと思って」
「まぁ…その関係も途絶えたところだが」
Aが行ってしまった方を見つめる。戻ってきてくれないか…と無駄な期待をしていると、にゅっと横から伸びて来た手。すぐにバッと振り払った。
「オイ。なんのつもりだ?フリスク」
「悲しそうな顔してたから慰めてあげようとしたの」
「heh。そうかよ。けど、慰めなんていらない。そもそも、オイラはお前さんのこと許してない」
「…」
「地底にいた頃。時空を好き勝手飛んでオイラたちを何度も殺したことを。忘れたとは言わせないからな」
吐き捨てるようにそういえば、フリスクは瞼を伏せて罪悪感でいっぱいの顔をした。
「それは…必ず罪を償う。今だって地上に出たシナリオでストーリーを終わらせた」
「まぁ、それに関しては感謝してるぜ?優しいフリスクさんよ。けどな、地上に出たところでただ差別される世界だったけどな。ハッピーエンドじゃなくて」
あえて皮肉を込めて言ってやった。いつもならまだ優しさを与えられたが、今のオイラに余裕はなかった。
すると、フリスクは決心したようにこちらを見つめて
「なら、私のこのリセットの力。Sansが好きなタイミングで使いたい時に力を貸すよ」
「…オイオイ。それでオイラが喜ぶと思ったのか?」
大きな間違いだ。そんなものよりAと仲直り出来る方法でも教えてくれる方がよっぽど良かったよ。
「その力を使いたい時なんてあるか。その忌々しい力をもう二度と見たくない」
「けど…」
「〜ッいい加減にしてくれ!ほっといてくれよ!頼むから…ッ…」
黙り込むフリスクはしばらくして「また来るから」と一言告げて公園を出ていった。
今はもう、頭はAのことでいっぱいなんだ。
「(サンズがこんなことすると思わなかったッ…最低だよ!!!)」
顔を悲痛で歪ませ憎しみを込めて言い放ったA。
もう公園には来ないだろう。オイラを友達とすら思っていないだろうな。縁は断ち切れてしまったんだ。
それでも、それでも…ッ…オイラはここで待ってる。
待つことしか出来ないからこそ、明日も明後日もその先も。来てくれるまでずっと。
A、お前を待っているから。
91人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
極度の対人恐怖と悪女さん。【AU】
タヒにたくないからモブの人生を選択したのにサンズさんの追跡がエグい〔undertale〕
もっと見る
「Undertale」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リリィ・スノー(プロフ) - すごくいい作品でした。シナリオ、終わり方など、感動してしまいました。この作品に出会えてよかったです。とっても私の好みにどストライクで… (2023年3月18日 10時) (レス) @page34 id: 24a11843b1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - P様さんさん» P様さん!こちらの作品も読んで下さりありがとうございます!貴方様に感動を与えることが出来て嬉しく思います!イラストまで褒めていただいて…作者は幸せ者です😭最後までありがとうございました! (2022年12月19日 17時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
P様さん - 読み終わりました!!泣きました!!最高です!小説もそうなのですが、イラストも大好きです! (2022年12月19日 16時) (レス) @page34 id: 44cbacd699 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ユンユンさん» コメントありがとうございます!最高だなんて…素敵な褒め言葉をいただいて嬉しいです!また、すれ違いシチュエーションは本当に美味しいですよね!(?)私も大好物です!貴方様を楽しませられて本当によかったです!ありがとうございました! (2022年12月19日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
ユンユン(プロフ) - 一言言わせていただきます。最高です!!!私も時々喧嘩とかすれ違いのシチュエーションを考えるんですが、もうこの作品は私の大好きストーリードスレートでした!そして泣きました!これからも応援してます! (2022年12月18日 22時) (レス) @page34 id: 34d5562353 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Omiso | 作成日時:2021年12月5日 0時