最終話・殺り損ねた『お前』にリベンジを ページ38
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燃え盛る建物を見上げて眺め続ける。
隣でAの名前を何度も呼んで泣き叫ぶ同僚の声を聞き流して、手を翳した。
すると、空から燃滓が雪のように降って手の平に乗った。
冷たくない。ジリジリと皮膚が焼けるような感触にギュッと握りしめた。
「やっぱ、お前は"雪になって消える"んだな」
もう片方の手に握っていたライターを泣き崩れる片割れに気付かれないように排水溝の穴へと落とした。
その直後、通知で震えた携帯を見ればボスからで
「(三途はもう使い物にならない、殺れ)」
その文面にフッと笑う。
本当に汚い世界だ。使い物にならなくなったら捨てられて、使い物である限りは手を汚せ続けていく。
こんな世界にいる方が生き辛かったか?死んで両親がいるそっちの方が幸せか?なぁ、A。
けど、やっぱ俺の隣にいてほしかった。守りたかった。一緒に生きて欲しかった。
そっと胸ポケットに手を突っ込めば冷たい銃の感触。手に取って三途の頭に突きつけた。すると、こちらに顔を向ける三途の顔は驚愕の色に染まっていく。
その表情にヘラリと笑ってみせる。
「俺はあの時、なんでAを救えなかったんだろうな。何でAが殺されたのにすぐにお前を殺せなかったんだろうって」
あの時の自分が惨めで間抜けでほっんと腹の底から笑えて仕方がねぇーよ。なぁ、三途!!!
「お前と同じだ。Aを殺り損ねた時のこと言ってたよな。悔やんで悔やんで悔やんでずっと後悔したって。だから俺はお前と同じように成し遂げてやるよ」
蘇る彼女との思い出に静かに涙を流して覚悟を決めた。カチャリと下ろしたセーフティレバー。あとは引き金を引くだけだ。
人の命ってこんな簡単に奪えるんだな。そのあとはきっと何も残らずに朽ちていく。それならもういっそ…
A、お前の後を追ってみてもいいかな?
パンッ!!!と乾いた銃声の音が辺りに鳴り響いた。
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END
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Omiso(プロフ) - 十六夜夏希さん» コメントありがとうございます!好きだと言っていただけてとても嬉しく思います!また、書き終わってしばらく経った今でもこうしてコメントを頂けること幸せです!本当に最後まで読んで頂きありがとうございました! (2022年4月30日 14時) (レス) @page38 id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - マイキーが春千夜を見放す(?)のって珍しいですね!言葉では表せないくらい好きです。お疲れ様でした!! (2022年4月30日 13時) (レス) @page39 id: cc6ab814ba (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ゆゑるさん» コメントありがとうございます!わわっ!たくさん褒めていただいてとても嬉しいです😊何より貴方様を楽しませられたことが作者にとって一番の幸せです😭本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年4月12日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゑる(プロフ) - うわぁぁぁ!!今読み終わったんですけど、最高ですっ...!作者様の表現の仕方からもう素敵でした😭めちゃくちゃ面白かったです!!!!! (2022年4月12日 1時) (レス) @page39 id: 1d05848943 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - yumuiさん» コメントありがとうございます!隠れ主人公!確かにそういった捉え方もありますね…貴方様の発想に驚かされました。作り手としてしっくりときたお言葉をいただいて嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年3月7日 16時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年10月16日 17時