25話 ページ26
「ダンデ。お前がいくらAに執着しても何も返ってこない。アイツを縛るなんて無理な話なんだぜ」
「ハッ…何を根拠に」
執着も縛るという言葉も否定しないダンデは吹っ切れていた。憎たらしく口角を上げるほどには。
「今に分かる」
だが、その余裕ぶった顔もすぐに崩れるだろう。
会場の奥。バルコニーへ繋がっている扉が突如として開かれた。バサリとカーテンが靡き風が吹き抜ける。
そこには、夜空に溶け込むことなく輝きを放つ存在。
アーマーガアの背に乗ったAの姿があった。
皆がその姿に圧倒され、ポカンと口を開けるのをよそにアイツはベランダに降り立った。
美しく散りばめられたラメで眩い赤いドレスを身に纏い、背まで伸びた長い髪はより彼女を際立たせるものとなる。
閉じていた瞼が開けば、その瞳は決意を灯していた。
「皆さん、私のためにご集まりいただきありがとうございます」
その声に人々はハッと惚けていた意識を取り戻して再度、彼女に注目する。
「成人となった今、皆様にご報告があります」
そっと胸に手を当てて俯いた最後、パッと上がったその表情は花が咲くような綺麗な微笑みで
「私は、チャンピオンを引退させていただきます」
高々とした宣言は彼女のスマホロトムから中継されてシュートシティの大画面に様子が映し出されていた。
＿＿＿＿＿＿
しばらくの沈黙の後、ワッと会場が騒めき動揺が走る。だが、そんな中で一人の男が黙っていなかった。
「Aくん！！！」
目の前のダンデによって掴まれていた胸ぐらを急に離されてよろける。そんな俺を微塵も気にすることなくダンデはツカツカとAの方へ歩いていっては
「やっときたと思えば…ッ…どういうことなんだ！？自分が何を言っているのか分かっているのか！！！」
その叫びは怒声というよりどこか縋り付くような弱々しさが入り混じっていた。
しかし、彼女は怯むことなく真正面から向き合って
「分かっていますよ、ダンデさん。分かった上で言っているんです。私はチャンピオンを引退する…と。そして、より強い相手を求めてポケモントレーナーとしてこの地方を旅立ちます」
その言葉に思わず俺は笑っちまった。
あぁ、お前らしいよ。A。願望をはっきり言葉にして皆の前で宣言するお前はかっこいい。
しかし、それはあくまで俺だけの思い。こちらに背を向けるダンデの背中は震えていて、
「…さない。そんなこと」＿＿＿＿ 絶対に許さない
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Omiso(プロフ) - 天音さん» コメントありがとうございます！キバナさんだけでなく、夢主まで褒めていただいてすっごく嬉しいです！それに神作だなんて…本当に勿体無いほどの素敵な褒め言葉に感激です！本当に最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年5月7日 8時) (
レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 最高でした…!!✨とても感動しました！キバナさん カッコいい…。夢主も カッコ可愛いい…!!!神作品！！ (2022年5月7日 0時) (レス) @page44 id: c80b266ed1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！キバナのかっこよさにとても力を入れたのでそう言っていただけて嬉しいです！神作品だなんてそんな！私には勿体ないお言葉…感謝の気持ちで胸がいっぱいです！本当に最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年2月5日 0時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 自分ダンデさん推しだったけどこの作品を見てキバナさんもメッチャ好きになりました!!!これはもう神作品としか、言いようがありません!! (2022年2月4日 23時) (レス) id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - きいさん» コメントありがとうございます！貴方様のお言葉にホッとしました。この作品を書いてよかったです！最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年1月3日 0時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2021年8月10日 1時
