気づいた時にはもう遅いから【呪術廻戦】

39話 ページ39

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可愛いから好きへ、好きは大好きへ、大好きは愛してるへと愛情は大きな形へと変化していく。

振り向かせることから振り向けばさらに愛は深まって

抵抗から諦めへ、諦めから受け入れへ、受け入れれば愛情の証として自ら口付けを捧げてくれる。

Aを恋人として手に入れてから"半年"も経てばこんなもの。追いかけるのは辛いだろ？なら受け身で愛を与えられる方が幸せなことに気付いてくれる。

今、隣で眠る君はとても美しい。もう悟を想って泣く彼女はいない、純粋に恋している頃もない。ただ…


「げ、とう…先輩？」

「起こしちゃったかい？私の可愛いA」


額に口付けを落とせば照れる反面、妖美に笑う彼女にゾクリとし心が震える。

か細い手首をガッと押さえつけては上から見下ろす。


「どうしたんですか？」

「んー？フフ、たべちゃいたいなぁーって…ダメ？」

「ッすいません、その勇気はまだ…」

「そっか。ごめんね」


そう。この通り私達はまだ体を重ねてはいない。口付けは早かったのにお預けされているのだ。本当に…はぁ、苦しくてありゃしない。

別に強引にでも…そう思ってしまう。が、まだその時ではない。あえて半年も待ってあげたんだ。

体を重ねるというのは愛も快感も体の芯に刻んで溺れさせる最高の手段。とっておきの手段。


「じゃあ、これは許してね」


首元に口付けを落として吸い付けば「んっ」と可愛い声をあげる。グッと込み上げる欲を押し殺して痕を残す。


「こんなところにつけたら隠せないです」

「隠さなくていいんだよ。そのために痕つけたんだから。私のものだって」

「…」


こうして分かりやすいところに痕をつければ未だに顔を歪ませる親友の顔が見れるからね。

そんな日々を積み重ねる中で止まらない愛と共にこの半年間、苦い思いも募らせていた。


猿共への殺意。

呪術界への不満。

救える人々の価値観の歪み。


愛はそれらの苦しさを和らげた。でもそれだけじゃあ足りなかったんだ。だから決意をして私は新たな未来へ夢を見た。単純だ。


猿共を殺して私達、呪術師だけの世界を作ればいい。


A。もちろん君なら受け入れてくれるよね？

もし受け入れないのであれば、それこそ最高の手段で君に愛を刻み込むだけだよ。どんな形になろうとも。

そして、高専から君を連れ去ってしまおう。嫌がるなら引きずってでも私と共に来てもらうつもりだから。

さぁ、A。利用したツケを私に返す時が来たよ。

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