3話 ページ3
貴方サイド
硝子先輩からかかってきた電話と遠くから五条先輩の呼び止める声。
ブチリと切れた暗い画面を見ながら首を傾げる。なんだったんだ…
一応言われた通りにさっさと教室を出ようとする。が、先に開く扉。
そこには息の切れた五条先輩の姿。ハァハァと吐息を漏らす色っぽさに頭が一瞬フリーズする。
「間に合った」
悪巧みするような顔にギュンと心臓が鷲掴みされる一方で先程の硝子先輩からの電話の意図がわかった。
「…またからかいにきたんですか。暇ですね。どいてください」
そういって退くはずもない先輩を押す。やっぱりピクリとも動かない。それどころか押していた手を掴まれてグイッと顔を寄せられる。
「冷たいこというなよ。実は期待してたくせに」
「してませんから」
ううん、本当はすっごくしてた。だけどそれを言えばきっと貴方は
「ハハッ、そういうところちょー好きだわ」
構ってくれなくなるかもしれない。それは嫌だ。ものすごく嫌なんだ。
「軽々しく好きとかいうのやめた方がいいですよ。勘違いします」
「お前は勘違いしないだろ?ならいいじゃん」
人の気も知らないで。そんな貴方が大っ嫌い…なんて嘘。
私の気持ちをかき乱して、惑わされてもそれでも好き。ってどうかしてる。分かってる。でも…
「今日はどんな意地悪してやろうか。なぁA?」
ニヤリと笑みを浮かべ、伸ばしてくる大きな手は私に何をしようとしているのだろうか。
けど貴方になら何されてもいいなんて思っちゃって、ぎゅっと目を瞑る。
だけど、触れる直前にパシッと手が弾かれる音。
「悟、またAちゃんにいらないことしようとしただろ。ダメじゃないか」
少し息を切らしながら五条先輩を軽く睨み、私を庇うように前に立つ夏油先輩の姿だった。
何もされてないかい?大丈夫?と私の顔を覗き込む夏油先輩に笑みを浮かべる。
「夏油先輩のおかげで何もされなくて済みました」
「それはよかった」
にこやかに笑う夏油先輩に対して私の顔は引きつってないだろうか。好きな人から触れられることを邪魔されたという不満は表情に出てないだろうか。
なんて私の心は、好意に貪欲で醜くて…汚い。
「おい、なんで俺がいらないことする前提なんだよ。意味わかんね」
「それは悟が無自覚なんじゃないかな?そもそも毎日放課後に教室に押しかけて迷惑だろ。Aちゃんもそう思うよね」
突然ふられたその言葉に私は______
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» 前作でも今作でもコメントありがとうございます!ドロッドロという素敵な褒め言葉、最高に嬉しいです!心情は特に意識しているのでそう言って頂けて光栄に思います!次回作を出せれた時はぜひ応援よろしくお願いします!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ドロッドロでおっもい(超褒め言葉)好み過ぎる作品をありがとうございました! 前作も読ませて頂きましたが、どちらも心情描写が堪らなく好きです。作者様のペースで新しい作品を作って頂ければ飛びつきます。本当にありがとうございました。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ノアさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました!いつもは今までの作品も読んで下さっていたのかな?今作も読んで頂き嬉しい限りです!世界観を味わってもらうよう文は意識しているのでハラハラしたという感想を頂けて大満足です!今後とも応援よろしくお願いします! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - muuさん» muu様!またのコメントありがとうございます!そして最後まで読んで下さりありがとうございました!憧れである貴方様に素敵な褒め言葉を頂けて感涙してしまいそうです(泣)いつも影ながら応援しています!そしてこの作品を応援して下さり本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 虹野原さん» そして貴方様のような素敵な方に読んでもらえて心の底からこの作品を作ってよかったと思います!今後においてまた作品を作る機会では貴方様の応援を糧に全力で頑張ります!本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年2月6日 18時