気づいた時にはもう遅いから【呪術廻戦】

26話 ページ26

このままだったら何も進めないから。だから、

巻きつく腕を強引に振り解き、驚く先輩に対して初めて大きな声をあげた。


「勝手に決めつけないでください！！！私は…ッ…私は！！！」


落ち着け。感情のまま想いを言ったかって無意味だ。一呼吸置いて、ドバドバと溢れ返る感情に蓋をする。

でもその想いの少しでも知って欲しいから既に溢れて落ちてしまった想いはこの場で伝えてしまおう。


「五条先輩、貴方は私を誰と重ねているかは知りません。今までどんな女の子の交流があったのかも知りません」

「…ッ」

「でも、私自身から目を背けないでください。もう貴方が大好きな都合のいいおもちゃにはならない。私は私の思うまま行動します」


今、伝えたかったことは伝えた。それでも顔を歪める貴方はきっと納得していないだろう。

なら、貴方の言葉そっくりそのまま返そう。


「私は私のままでいてと言いましたよね？そうしてほしいというならちゃんと向き合ってみてください。貴方が理想を描いているおもちゃの私ではなくて」


その言葉に対して五条先輩はただ動揺したように瞳を揺らす。そして歯切れが悪い口調で


「ッわかんねぇーよ。本当のお前と…想いと向き合うだなんて…そんなこと…今更！！！」

「分からないなら考えてみてください。それで先輩が納得いく答えが出たら受け止めますから」


そう。この想い、好意は五条先輩には既に見透かされているし、前のような関係なんていられない。

そして、今後この想いを隠すつもりはない。それをどう向き合ってくれるかは五条先輩次第だと思う。

例え、その想いに対する結果がどうなろうとも、貴方の意思がしっかりそこにあって、私と向き合ってくれて、想いに対して正直に答えてくれるなら、

何一つ文句は言えない。

それ以上は求めない。求める時は私の想いが報われた時だけだ。

まだ何か言いたげな先輩を置いて背を向けて歩き出す。存分に迷って欲しい。迷えばいい。

今まで私をおもちゃにした罰だ なんてことはそれに甘えんじていた私も悪いのだから何も言えないけど、

この機に心境の変化があってくれればいいなと心の何処かでは望んでいる。


言いたいことが少しでも言えたのかずっと沈んでいた気持ちが軽くなった気がした。

でもすぐにあることを思い出して血の気が引く感覚。


「夏油先輩のアドバイス無視しちゃった…」


避けると言っていたのに接触してしまったこと。でもそこに後悔はなかった。

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