1話 ページ1
貴方サイド
手元にある携帯に目を落とせばもう少しで授業が始まってしまう時間。
急がなければと駆け出そうとする。が、後ろからドタドタと聞こえる物騒な足音に思わず足は止まる。
ドキリと心臓が跳ね上がっては、期待してしまう心。
_____あぁ、あの人が来る。来てくれる。
あえて振り返らずにいると、顔の両側に伸びてくる大きな手。
「やっと見つけた。A、暇だから構えよ」
がばりと勢いよく後ろから首に巻きつく長い腕。
パッと横を見れば、真っ白な髪が光によって透き通り青い瞳が私を捉えて悪戯っ子のように笑う先輩の顔。
私の心を昂らせドギマギさせて。とっても目に毒だ。
「五条先輩。全体重傾けないでください。流石に潰れます」
「はぁー?そんなんだから弱っちぃんだよ。もっと鍛えろ」
「私これでも準一級なんですけど」
「ざっっっこ」
「…」
ここで「ひどいです!先輩!」なんて涙を目浮かべてか弱く演じればどんな反応するんだろうか。
生憎可愛げのない性格でそんなことする勇気もなく、ただ愛想ない態度で接することしかできない。案の定
「ほんと無愛想だな。少しはひどいです!とか言って甘えてくれた方が可愛げあるわ」
「そんなことするわけないじゃないですか。それより離れてください」
「無理。このまま俺と一緒に授業サボろうぜ、A」
ギュッと後ろから更に強く抱きしめて覗き込んでくる端正な先輩の顔。
この人の距離感どうなってんだか。だけど、そのことに嬉しさと胸の高鳴りを覚えている私。ほんと馬鹿。
それを表面に出さない性格と表情筋だけが取り柄で、助けられている。
バシッと体に纏わり付く長い腕を叩き落とす。
「サボりません。先輩一人で勝手にしてください」
そう伝えてさっさと歩き出せば後ろでクツクツと笑う声。
「やっぱお前おもしれぇーわ。また構ってやるよ」
「もう勘弁してください」
なんて言いながら また という言葉に安堵して浮かれている気持ち。
興味ないふりして、無愛想を貫いて、貴方の気を引かせている。だけど、本当は五条先輩。
貴方のことが好きで、いつもドキドキして、ときめいて。でも、そんなこと口に出して言えなくて、見栄を張りづけて、苦しくて、辛くて…
どうしたらこの恋が叶いますか?
どうしたら振り向いてくれますか?
どうしたらお気に入りから卒業出来ますか?
無知な私に誰か教えて欲しい。
そして、何か変わるきっかけが欲しくてたまらない。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» 前作でも今作でもコメントありがとうございます!ドロッドロという素敵な褒め言葉、最高に嬉しいです!心情は特に意識しているのでそう言って頂けて光栄に思います!次回作を出せれた時はぜひ応援よろしくお願いします!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ドロッドロでおっもい(超褒め言葉)好み過ぎる作品をありがとうございました! 前作も読ませて頂きましたが、どちらも心情描写が堪らなく好きです。作者様のペースで新しい作品を作って頂ければ飛びつきます。本当にありがとうございました。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ノアさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました!いつもは今までの作品も読んで下さっていたのかな?今作も読んで頂き嬉しい限りです!世界観を味わってもらうよう文は意識しているのでハラハラしたという感想を頂けて大満足です!今後とも応援よろしくお願いします! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - muuさん» muu様!またのコメントありがとうございます!そして最後まで読んで下さりありがとうございました!憧れである貴方様に素敵な褒め言葉を頂けて感涙してしまいそうです(泣)いつも影ながら応援しています!そしてこの作品を応援して下さり本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 虹野原さん» そして貴方様のような素敵な方に読んでもらえて心の底からこの作品を作ってよかったと思います!今後においてまた作品を作る機会では貴方様の応援を糧に全力で頑張ります!本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年2月6日 18時