44話 ページ44
12月24日
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ポツリポツリと降り始める雨は次第に地面を打ちつけるほどの大雨となる。
そんな中、大都会の街、東京の新宿。人々が行き交う交差点では誰も傘をささず、
多くの死体が転がる凄惨な現場と化していた。
そして、虐殺された死体の山々に君臨する二人の影。
その影を下から見上げる一人の男は苦痛の表情に、怒りと悲しみをぶつけるようにひたすら叫ぶ。
「傑…A!!!なんで…ッ…これがお前らが望んだ未来だっていうのかよ!!?」
青い瞳を見開いて、今にも泣きそうな彼はただ願う。
もうこんな愚行はやめてほしいと。
だが、頂点に君臨する男は笑う。その隣にいる女は何も言わずにただ彼を見下ろす。
「あぁ、悟。久しいね。こんな形で出会いたくなかった。だけど、理解してほしい。私達の行動の意味を」
「理解なんて出来るわけねぇーだろ!!!こんなこと…ッ…なんでお前はそうやって…傑…Aッ…ぁぁ…あ゛ぁぁぁぁ゛!!!!」
流れる涙に昂る激しい怒りは禍々しい呪力へと変化し、彼を纏うオーラに収束されていく。
もう話し合いも、救うことも、後戻りも出来ない。
全てを悟った彼は空を仰ぎ、溢れる感情を押し殺す。
そして、グッと袖で目元を拭えば、もうそこには涙を流して悲しみに暮れる彼はいない。
ギロリと睨みつけては覚悟を決めた顔。
「終わらせてやる。この虐殺も、絶望も、そして…Aを今度こそ呪いから解放してやる」
「ハハッ!やれるものならやってみろ。悟!!!!」
激しくぶつかり合う衝撃で雨が吹き飛び、晴天が彼らを包み込む。
代わりに空から降るのは真っ赤な血飛沫だけ。
その血は街を、屍を、全てを染め上げて、落すことの出来ない穢れを残していく。
戦いを見守る者は誰もいない。ただ異質な者同士の
互いの意思を懸けた戦いの舞台となった。
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45話「The chain of curses named love never stops」END→←43話「Tied to the love of one person」END
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Omiso(プロフ) - てんぎつね。さん» コメントありがとうございます。そう言われて実際自分でやってみたんですけど想像以上に痛いですね(笑) (2021年7月28日 23時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - いや親指は反り返したら痛い (2021年7月28日 23時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - るりさん» るり様、コメントありがとうございます!貴方様のお言葉に嬉しさで胸がいっぱいです!そして、貴方様の作品を読ませて頂いております。今後の更新楽しみにしています!応援ありがとうございます!貴方様にも私からのエールを。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 最高な作品をありがとうございます。ほんとにその場にいるような臨場感や、細かく描かれる表現方法であっというまに読んでしまいました。これからも作品楽しみにしています! (2021年6月5日 11時) (レス) id: 82fe86bccf (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます!読者様がゾクゾクするようなホラー×ヤンデレを感じて頂けていたらと思います!夏油の術式を上手く活かせることを目的にしていたので貴方様の褒め言葉本当に嬉しく思います!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年12月17日 19時