43話「Tied to the love of one person」END ページ43
腕の中で目を覚ました彼女は一瞬にして絶望し顔を歪める。
そして泣き叫び、腕の中で暴れるものだから黙らせる為に加減なしに力強く抱き締める。
ボギボキと嫌な音が鳴るが知らない。
彼女の悲痛の叫び声なんて知らない。
肩を濡らすものが何なのか知らない。
ただA。君が悪いんだよ?私から逃げようとした君が。最も卑怯な死へ逃げようとする君が。でもねそのおかげであることに気付けた。
「最愛の死から生まれた憎悪は愛になるんだね」
そう、最愛の君が死へと逃げようとするから私は憎しみを抱き、その憎しみは縛りとなり、君と私を永遠に繋ぎとめる鎖…愛となった。
なんて素晴らしいんだろう。憎悪と愛情は紙一重だ。
『なんで…嫌だ…ひどい…よ…ッ』
心臓は綺麗に治り、抵抗した罰として折った背骨だって元どおり。そんな自らの体を抱きボロボロと涙を流す彼女。そして力強く睨む瞳。
臆することはない。睨まれたって、恨まれたって今更だろ?
口角を上げニコリと笑ってはヨシヨシと頭を撫でる。
「辛いかい?苦しいかい?悲しいかい?だけどね、A。君がどう思ったって私は君を手放さないよ。これから先、ずっと死ぬまで一緒だね」
彼女を引き寄せて壊れ物のように優しく抱き締める。
抵抗しない…いや、出来ない彼女はただ泣くばかり。
「泣いたって仕方がないんだよ。さ、A。これからやることが沢山あるんだ。君と共にこの世の中、未来を変えていく」
涙をそっと拭ってあげて目を合わせる。相変わらず何も映さない真っ暗な瞳だ。
美しい。本当に似合ってるよ。生前の醜い姿よりも世界を変える呪いとしての君の方が。
「これから未来を救う君を愛し、尊び、信仰を捧げよう。そして全ての呪いを消滅させたら一緒に命を絶とう。その時をもって望む未来が待っているよ」
呪いから人々を救う。いつかの君は言っていたね。その夢を叶えるんだ。
例えこの世の中を全て血で染め上げてもAとならどこまでも突き進めるのだから。
「君がいる限り私は最強だ。心の底から愛してるよ」
愛を伝え彼女に落とす深い口付けはもう冷たくない。甘くてとろけるような温もりのある愛を感じた。
ただ、それは私だけの一方的な思い込みの愛の温もりかもしれないけれど。だけど、別にまぁ…
「それでもいいか。ハハッ…!」
Aが私のものであれば何だっていいんだ。
そして来る12月24日、君と未来を変えて見せよう。
END1(夏油落ち)
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Omiso(プロフ) - てんぎつね。さん» コメントありがとうございます。そう言われて実際自分でやってみたんですけど想像以上に痛いですね(笑) (2021年7月28日 23時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - いや親指は反り返したら痛い (2021年7月28日 23時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - るりさん» るり様、コメントありがとうございます!貴方様のお言葉に嬉しさで胸がいっぱいです!そして、貴方様の作品を読ませて頂いております。今後の更新楽しみにしています!応援ありがとうございます!貴方様にも私からのエールを。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 最高な作品をありがとうございます。ほんとにその場にいるような臨場感や、細かく描かれる表現方法であっというまに読んでしまいました。これからも作品楽しみにしています! (2021年6月5日 11時) (レス) id: 82fe86bccf (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます!読者様がゾクゾクするようなホラー×ヤンデレを感じて頂けていたらと思います!夏油の術式を上手く活かせることを目的にしていたので貴方様の褒め言葉本当に嬉しく思います!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年12月17日 19時