42話 ページ42
「は?」
揺すってみるがぴくりとも動かない。それどころか体が徐々に崩れ落ちていきチリとなって消えていく。
「〜ッふざけるな!!逃げるのか?!私を置いて勝手に満足して。起きろA!!!」
その呼びかけにも反応しない。ただ叫び声が響いては霞んでいく。
「頼むから起きてくれA…A…ッ…A」
腕の中の彼女を強く強く抱き締める。
なぜだ。私はここまでして君をやっと手に入れたというのに。
猿を多く殺した、手を血で汚した、恨まれ役を買った。それなのに私の想いに応えてくれないのか?
「_____許さない」
決して君を逃さない、解放させない、手放してやるものか。だが、そう強く願ったって彼女の崩壊は止められない。術もないんだ。
「あ゛ぁぁぁ…だめだ…そんな…」
こぼれていく。腕の中から彼女の体がパラパラと。私の彼女が、私のものが、私の愛する存在が離れていく。あァ、嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
「A…あまりにもひどい仕打ちじゃないか?」
何をいっている、全てを奪ったお前が。
「いかないでくれ…私と共にいるべきだろう?君は私と一緒に未来を変えるんだ」
そんな未来望んでいない、勝手にしろ。
「…」
願えば願うほど彼女の罵倒が頭をよぎり、彼女の体は崩壊を続ける。
「ハハ…ハハハッ…」
なぜ笑いが込み上げる?涙が溢れる?心臓がズキズキ痛いんだ?
今更生前の彼女を殺したことを後悔しているのか…いいや、違う。この感情の昂りは激しい怒り、憎悪だ。
「逃がさないよA…逃がさない…ッ…逃がさないからなァ!!!そう簡単に!!!」
私を拒絶して呪いを解こうとするのなら私が君を縛ればいい話だ。
そう縛り…縛りだ!自分の術式に強力な縛りを。
今持つ呪霊をA以外全て失ってもいい。これから先使えなくなっても。その代わりに…
目の前の彼女は呪いとして決して死なせない。彼女だけは一生私の側で、ずっと、永久に使役する。
さぁ、誓おうじゃないか。縛りとしての約束、誓いを。最も大切なもの、私の命を懸けてでも…ね。
「Aは誰にも祓わせない。これから先、もし私以外の誰かに祓われた時は…共に死のう」
すると彼女の傷は瞬く間に塞がり、私と彼女の間に固い鎖が繋がれる。そして瞑っていた瞼が開き、動揺する彼女の瞳の中には
クシャリと心底嬉しそうな笑顔を浮かべる自身が映っていた。
「ブッ、アハハハハッ!!!おかえり!!A!」
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Omiso(プロフ) - てんぎつね。さん» コメントありがとうございます。そう言われて実際自分でやってみたんですけど想像以上に痛いですね(笑) (2021年7月28日 23時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - いや親指は反り返したら痛い (2021年7月28日 23時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - るりさん» るり様、コメントありがとうございます!貴方様のお言葉に嬉しさで胸がいっぱいです!そして、貴方様の作品を読ませて頂いております。今後の更新楽しみにしています!応援ありがとうございます!貴方様にも私からのエールを。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 最高な作品をありがとうございます。ほんとにその場にいるような臨場感や、細かく描かれる表現方法であっというまに読んでしまいました。これからも作品楽しみにしています! (2021年6月5日 11時) (レス) id: 82fe86bccf (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます!読者様がゾクゾクするようなホラー×ヤンデレを感じて頂けていたらと思います!夏油の術式を上手く活かせることを目的にしていたので貴方様の褒め言葉本当に嬉しく思います!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年12月17日 19時