41話 ページ41
夏油サイド
彼女の体に貫通する悟の拳。ズルリと腕を引き抜かれ地面へと倒れていく。
「〜ッA！！！」
駆け寄って倒れる寸前に抱きとめた。何度も何度も呼びかけるが返事はない。
悟にはAは祓えないと思っていたのに…ッ…！！
「諦めろ傑。Aは呪いから解放されるんだよ」
「ハッ…」
笑えない冗談だ。Aは絶対に祓わせない、失わせない、死なせない。これは私のものであり、これから先、共に新たな未来を作りやっと…
「愛せる存在になったというのに何してくれたんだ！！！」
「お前の想いは愛でもなんでもねぇーよ。ただの自己満だ。それをAに押し付けて巻き込んで…ほんと最低だな」
愛ではない？自己満だって？そんなはずないだろ。私はAを愛してる。愛してるから呪いとして生き返らせただろ。
それを最低だって罵るのか。その言葉の意図が理解出来ない。
すると、胸ぐらを勢いよく掴まれて目の前には悟の歪んだ顔。
「本当に愛してたんならAの幸せを願うべきだっただろうが！！それなのにお前はAの全てを奪ったんだよ！！！」
「ーッ私は何も奪っていない。Aを猿という底辺で薄汚いものから解放させ、新たな未来を私と共に作ることが幸せだったんだ」
「だからそれがお前の勝手な理想の押し付けなんだよ。いい加減気付けよ！！！」
気付く？そういわれて気付くやつがいるだろうか。否、私は私の思うがまま進むだ。
胸ぐらを掴む手をバシリと弾き、手をかざす。
「私とAの愛に口出しするな。呪霊操縦！！！」
今出せる手数を全てぶつけ、その間に横たわる彼女を抱き抱えて遠く、追いつかれないよう遠くへ逃げた。
後ろから聞こえる煩わしい怒号を無視して。
＿＿＿＿＿＿＿
人気のない廃墟で腰を降ろし、腕の中で血を流し続ける彼女に目を向ける。
「A、命令だ。今すぐ傷を治せ」
だが一向に治す様子がない。彼女の力なら治せるはずだろ？
『…げ…とう…』
微かに彼女の唇が動く。あぁ、呪いとして意思疎通が出来るようになったのか。
「そうだよ、A。君の夏油だよ…さぁ、自分の傷を治そう。それから沢山話をしよう。君とこれから先の未来を」
いっそう理想の彼女へと近づいていく。傷を治し完治すれば叶えられる未来がすぐそこにある。
だが、彼女は真っ暗な瞳をこちらに向けると
『嫌だ。お前のいうとおりになるもんか』
はっきりと答えては嘲笑いそのまま硬く目を閉じた。
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Omiso(プロフ) - てんぎつね。さん» コメントありがとうございます。そう言われて実際自分でやってみたんですけど想像以上に痛いですね(笑) (2021年7月28日 23時) (
レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - いや親指は反り返したら痛い (2021年7月28日 23時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - るりさん» るり様、コメントありがとうございます！貴方様のお言葉に嬉しさで胸がいっぱいです！そして、貴方様の作品を読ませて頂いております。今後の更新楽しみにしています！応援ありがとうございます！貴方様にも私からのエールを。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 最高な作品をありがとうございます。ほんとにその場にいるような臨場感や、細かく描かれる表現方法であっというまに読んでしまいました。これからも作品楽しみにしています！ (2021年6月5日 11時) (レス) id: 82fe86bccf (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます！読者様がゾクゾクするようなホラー×ヤンデレを感じて頂けていたらと思います！夏油の術式を上手く活かせることを目的にしていたので貴方様の褒め言葉本当に嬉しく思います！最後まで読んで下さりありがとうございました！ (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2020年12月17日 19時
