4話 ページ4
夏油サイド
「お、お馬鹿さん…はへ?」
狼狽え、私の腕の中にいるこの子は一応可愛い後輩。
呪力がない彼女はただの一般人であり、私の中では…
猿に値するゴミのような存在で、排除すべき対象。
非術師が猿としか思えなくなったのはここ最近。今までの任務が積み重なった結果なのか。
そして、それをはっきり自覚したのは昨日だった。
そりゃあ悩みに悩んださ。守るべき対象に価値を見出せなくなったのだから。
この目の前の彼女だって本当に良い子で、私と同じように戦うことはできなくとも呪いから人を助けようとし、私や悟に積極的に手助けしようとする姿は可愛らしいと素直に思ってた。
だが、根本的に猿なことには変わりない。
戦いの最前線に出ればきっと何も出来ず、他人の命を顧みずに自分の命を優先するクズな本性が現れるだろう。
彼女の頭を撫でていた手をスルリと首にかけてみる。
力を入れてボキリと折れば、弱い君は即死だろうな。
「…あの、夏油先輩?大丈夫ですか?」
何も喋らない私に見かねてか目の前で手を振る彼女にパッと首から手を離す。
「すまないね。少し考えごとをしてたんだ」
「てっきり熱で立ったまま意識がぶっ飛んだかと思いました」
「だから熱はないよ?君は頑なに私を体調不良にしたいんだね」
いえ、そんなことは!!と慌てふためく彼女にクスリと笑う。
今すぐには殺さないさ。これでも本当に君を可愛い後輩だと思っていたし、猿の中でもきっとマシな方だろうから。それに…
「おい、傑。もう体調が平気ならそんな奴に構ってないで行くぞ」
「悟まで私の体調を気にするのか」
「気にするだろ。こんな雑魚に必要以上に構うなんて普段のお前ならありえねぇーし」
そう言いながらも彼女の頭に触れてはワシャワシャ掻き乱す悟。日頃一番に彼女に構っているのは君であり、お気に入りなんだろ?
親友のお気に入りを取り上げて、少し前まで情が湧いていた相手をすぐさま殺すのは心が非常に痛む。
だからここ数日間だけは生かしておこうじゃないか。
その間だけでも先輩らしく後輩を可愛がって、最後の思い出として前より積極的に関わるぐらい許されるだろう?
どちらにしろ、それで私に彼女が前より気を許してくれた方が隙が多く出来て…殺るには好都合だ。
最後には必ず息の根を止める。それは絶対に変わりない。変えられないんだ。
「ごめんね、A」
「え、何か言いました?」
「いいや、別になんでもないさ」
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Omiso(プロフ) - てんぎつね。さん» コメントありがとうございます。そう言われて実際自分でやってみたんですけど想像以上に痛いですね(笑) (2021年7月28日 23時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - いや親指は反り返したら痛い (2021年7月28日 23時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - るりさん» るり様、コメントありがとうございます!貴方様のお言葉に嬉しさで胸がいっぱいです!そして、貴方様の作品を読ませて頂いております。今後の更新楽しみにしています!応援ありがとうございます!貴方様にも私からのエールを。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 最高な作品をありがとうございます。ほんとにその場にいるような臨場感や、細かく描かれる表現方法であっというまに読んでしまいました。これからも作品楽しみにしています! (2021年6月5日 11時) (レス) id: 82fe86bccf (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます!読者様がゾクゾクするようなホラー×ヤンデレを感じて頂けていたらと思います!夏油の術式を上手く活かせることを目的にしていたので貴方様の褒め言葉本当に嬉しく思います!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年12月17日 19時