18話 ページ18
任務に付き合え なんて呪力のない私にとっては死の宣告をされたようなもの。
「私は君が呪いについて必死に学んでいることを知っているよ。だが、座学だけじゃきっと分からないことも多いだろう。ならこの機に私と一緒に任務に行き、見学という形で学ぶのはどうかな？」
少し前の私なら喜んで頷いていただろう。非術師の私が任務に一緒に行けるなんて貴重な機会だと。
だけど今は呪術界に対する想いも薄れ、辞めたいと思っている身。喜ぶどころか泣きたい。が、先輩の提案を断るなんて以ての外。
「ぜ、是非行かせてください！！！」
と言うしかないよね。案の定、夏油先輩は満面の笑み。くそう、最悪の事態だ。そもそもジュースで嘘をついていなければこんなことには…ッ！と過去の自分を悔いっていると、両手を肩に置かれて目の前には真剣な夏油先輩の顔。
「任務中は君に怪我をさせない。守ると約束するから…ね？」
優しく微笑む顔の良さにウッと心がやられる。よし、これはもう腹を括るしかないなァァ！！！
「あ、ちなみに明日には行くからね」
「え、急すぎん？」
＿＿＿＿＿
次の日の朝、任務が中止にならないかなと期待を胸に部屋のドアを開けると
「おはよ。早速だけど私と任務に行くよ」
と告げられていつのまにか車の中で体を揺らされている現状。もう切実に帰りたい！という私の思いとは反して車はすぐに目的地に着く。
渋々降りて着いた先は、汚い廃病院。
「ここに一級の呪いがいるから払いに行くよ」
サラリと先輩いったけど一級って普通にやばくない？
プルプルと震えている私にハハッと軽く笑い、行くよと背中を押す先輩。
笑いごとじゃないから！こちとら一般人と変わりないんだからな！！
だが、先輩は病院の古びた扉を躊躇なく開く。すると、ズンッと重い空気が身に纏った。
それは先輩も同様で先ほどの笑顔は消え、真剣に前を見据える。
「私から離れないでね」
その一言に頷き、腰に引っ掛けてある呪具に触れる。
ここに来る前に丸腰では心細いと持ってきた物だ。そしてポケットには呪いが見える眼鏡。
これらを使うことになる時は本当にピンチの時だ。例えば、先輩が呪いに勝てなかった時、動けなかった時に。ま、使うことはないだろうけど！
と楽観的に考えていた数時間前の自分を殴りたい。
目の前には涎を垂らし、手を血で真っ赤に染める呪霊の姿。
そして、頭から血を垂れ流し、壁に背を置く先輩の姿があるのだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 549人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Omiso(プロフ) - てんぎつね。さん» コメントありがとうございます。そう言われて実際自分でやってみたんですけど想像以上に痛いですね(笑) (2021年7月28日 23時) (
レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - いや親指は反り返したら痛い (2021年7月28日 23時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - るりさん» るり様、コメントありがとうございます！貴方様のお言葉に嬉しさで胸がいっぱいです！そして、貴方様の作品を読ませて頂いております。今後の更新楽しみにしています！応援ありがとうございます！貴方様にも私からのエールを。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 最高な作品をありがとうございます。ほんとにその場にいるような臨場感や、細かく描かれる表現方法であっというまに読んでしまいました。これからも作品楽しみにしています！ (2021年6月5日 11時) (レス) id: 82fe86bccf (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます！読者様がゾクゾクするようなホラー×ヤンデレを感じて頂けていたらと思います！夏油の術式を上手く活かせることを目的にしていたので貴方様の褒め言葉本当に嬉しく思います！最後まで読んで下さりありがとうございました！ (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Omiso
| 作成日時：2020年12月17日 19時
