13話 ページ13
「二人仲良く置いて行きやがって」
チッと舌打ちし、汚れた上着を脱ぎ始める悟。
「悪かったよ、そんなつもりはなかったんだ」
「はぁー?まずあんなヤツなんで庇うんだよ。らしくねぇーぞ」
「そればかり聞いている気がするな…まぁ、らしくはないか」
そういうとギョッとしこちらを見る悟になんだ?と首を傾げる。
「お前…肯定する方がおかしいぞ」
「悟は私にどうして欲しいっていうんだ」
「てっきりあいつに構う理由は遊び半分で、はぐらかしていると思ってたのに。肯定されたら意図が余計わからねぇーよ」
「…分からないままでいいんじゃないか?」
「はぁ?なんだそれ」
それを最後に悟は乱雑に上着を洗濯機に放り込んで出て行った。だが、終始こちらを強く睨んでいた。
何を怒っているのか察することが出来ない。悟にとってお気に入りの玩具の彼女を私に取られたからか?
パタンと制服が入った洗濯機の蓋を閉め、新しい私服に着替えて脱衣所から出る。
時計を見れば昼休みがもう終わる時間。昼食に手をつけられていない。それどころかAに喧嘩に巻き込んだことちゃんと謝れていない。
今日の授業が終われば彼女の元に行ってお詫びに何か奢るのもありかな…と考えながら教室に着き、席に座る。
その数分後、悟が乱雑にドアを開き、席の方へ向かってはドカリと座った。
明らか機嫌が治っていない。先に教室にいた硝子も察し、誰も喋らず午後の授業は始まり教師の声だけが響いていた。
授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると同時に真っ先に立ち上がったのは悟だった。何も言わず出ていこうとする彼に硝子が
「そんな急いでどこ行くのー?」
「別に」
と素っ気なく返したあとそのまま行ってしまった。
「何あれ、感じわる」
まぁ、どうでもいいけど と自分の部屋に戻る準備をする硝子に
「じゃあ私も先にいかせてもらうよ」
そう伝えれば先程のつまらない顔はどこへやら楽しそうにニヤリと笑い
「もしかしてAのところ?」
「…!なんでそう思うんだ」
「分かりやすぅー。さっきの喧嘩の終わりから様子見てた。二人手繋いじゃって仲良しじゃん」
「別にそういうわけじゃ」
「謙遜しなくていいって。彼女に喧嘩止めてくれたお礼でもするんでしょ。いってらっしゃい」
グイグイと背中を押され教室から追い出される。
「そんなに分かりやすいか…?」
そのことに首を捻りながらも彼女の教室へ向かう自分の足どりは弾んでいる気がした。
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Omiso(プロフ) - てんぎつね。さん» コメントありがとうございます。そう言われて実際自分でやってみたんですけど想像以上に痛いですね(笑) (2021年7月28日 23時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - いや親指は反り返したら痛い (2021年7月28日 23時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - るりさん» るり様、コメントありがとうございます!貴方様のお言葉に嬉しさで胸がいっぱいです!そして、貴方様の作品を読ませて頂いております。今後の更新楽しみにしています!応援ありがとうございます!貴方様にも私からのエールを。 (2021年6月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 最高な作品をありがとうございます。ほんとにその場にいるような臨場感や、細かく描かれる表現方法であっというまに読んでしまいました。これからも作品楽しみにしています! (2021年6月5日 11時) (レス) id: 82fe86bccf (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます!読者様がゾクゾクするようなホラー×ヤンデレを感じて頂けていたらと思います!夏油の術式を上手く活かせることを目的にしていたので貴方様の褒め言葉本当に嬉しく思います!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2020年12月17日 19時