【キ/ヨ】最近、幼馴染みが冷たくて【男主】 (ページ13)

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11話かわるときキヨside ページ13

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と、思っていたのに。

＿＿＿＿「え、」

懐かしい匂いが鼻を通っていく。

背中に回された腕。
首元にある顔。
肌から感じる体温。
落ち着くAのにおい。

俺は今、Aに抱き締められている。

(え、え？どういうこと？なんで俺、)

完全パニック状態。
避けられっぱなしでやっと話せたと思ったら今は抱きしめられてるなんて。
腕を引かれて勢いのまま傾いた体は、気付けばAの腕の中だった。
Aは一切喋らないまま動かない。

どうすることも出来ない俺は固まってしまう。

すると、

キヨ「！」

首元にあった顔が首筋に近づいて、すん、とにおいを嗅がれる。
あたたかい空気が首に当たってくすぐったくなる。

キヨ「っ、A…？」

それに耐えられずに思わず声を上げると、ばっとすぐにAは俺から離れた。

(やばい、すごい心臓ばくばくしてる…)

避けられていたからこんなに近付いたのは本当に久しぶりで、柄にもなくすごい緊張してしまった。

キヨ「ぁ、俺、えと、その…」

ちらりとAを見て、驚いた。

(…え、)

終わった。…そう言うような表情をしてたから。
それも一瞬で、すぐに困ったように笑った。

貴方「ぁ、あー！ごめんな、最近人肌恋しくなっちゃってさ！」

嘘だって、すぐにわかった。
無理に笑ってるのもばればれ。
俺にそんな簡単な嘘通じると思ってるの？

キヨ「…A」

嘘つくなよ、そう言おうとすると、

貴方「あ、俺先生に呼ばれてたんだ。
じゃあ行くな」

被せるようにそう言ってすぐに走り去ってしまった。

キヨ「え、ちょ、A！？」

言いたい事も聞きたい事もあったのに、Aは逃げるように行ってしまった。
でも、とりあえず、今日ちゃんとAと話せた。
今日話せたならきっと明日もチャンスがある。
明日聞けばいい。

緊張して早まった胸に手を当て、ひと息つく。
肩の力がなくなっていくのと同時に、口元が緩んでいった。

(…よかったぁ、)

話せた。それだけで俺はとても嬉しかった。
避けられたせいで会話出来なかったから、目線を合わせてくれただけでも嬉しかった。

だから、舞い上がってAのことが見えていなかったんだな、きっと。

次の日から、Aとはずっと話せなかった。
結局そんな状態のまま、俺たちは高校を卒業した。
卒業後は音信不通、連絡先も変わってる、更には実家からも出てしまっていた。

「…嘘だろ、」

事実上、俺はAと会えなくなった。

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