【WT】花天月地Ⅱ【Smile】 (ページ26)

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昇降口を出ると、笑琉は校門で待ってくれていた。
・・・勇気出す瞬間なんて一瞬だよね、頑張れ、私。

「遅い」

『待たせてごめん』

「んで、話す内容は？こんな待たせておいて下らない話だったら明日一緒に登下校してやんない」

背中に隠していた花束を彼に渡すように差し出し、私は口を開いて言葉を紡ぐ。
深呼吸して、大丈夫。

『・・・丁度1年前、私は貴方を好きになりました・・・！！私と、付き合ってくれませんか！』

私は赤くなった顔を隠す様に頭を下げる。
彼の表情はよく分からない。
花束は受け取ったみたいだが、何も言わない彼に私は恐怖と羞恥心で泣き出しそうだった。

「返事は、後でちゃんとした形でします。それまでは待っていて下さい」

『・・・はい』

私は一瞬の勇気を出し切ったせいか、酷く疲れてしまい、その場にへたれこんだ。

『はぁ・・・』

「大丈夫か、ほら、手貸す」

『ありがとう』

この男はどこまで私に優しいのだろう。
期待してしまうから、優しくしないで・・・
どうせ振るんでしょ？情が無い女から告白されて、彼は一体どんな心境なのだろう。
もう考えたくなくなってきた。

side Smile

Aから告白された。好きな人から告白されると誰しも嬉しいだろう。
Aは花壇で育てていたであろう三輪の花を渡してきた。
3つとも知っている花だ。生憎、花言葉までは知らないので調べようと思っていた。

返事を明日する、と言ったのは理由がある。
彼女は花と共に俺に告白をした。
そうとなれば、俺も花束で返そうと思ったから。

家に帰って荷物を置き、財布と携帯を持って花屋に行く。
もちろん、俺はAのように自分で育てていないし、A程の知識は無い。
あっても多少。

軈て花屋に着き、店員に“この花が欲しい”と伝える。

「すみません、ニゲラとリナリア、シナワスレナグサってありますか？」

「ありますよ。それぞれ一輪ずつですか？」

「・・・はい」

「分かりました。どうぞ」

代金を支払い、軽くお礼を言って帰る。
この花は適当に選んだ訳では無い。
しっかり花言葉の意味を理解した上で選んだもの。
今から、Aに返事の意味を兼ねて渡す。

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紅花翁草(アネモネ)の花言葉
貴方を愛します、儚い恋、貴方を信じて待つ

桜草〃
少年時代の希望、若い時代と苦悩、乙女の愛、初恋、可愛い、青春の喜びと悲しみ

クロッカス〃
不幸な恋、私を信じて、貴方を待っています、愛をもう一度、青春の喜び、愛した事を後悔する