【WT】花天月地【Smile】 (ページ43)

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#41 ページ43

「ねぇ〜俺また一匹も掬えなかったんだけど」

彼の金魚すくいの下手くそ具合も変わらないままだった。
相変わらず下手くそだなぁ、と思いながら蒼に何匹か分ける。

「ありがとうA！助かった！」

『それはよかった。人間って10年経っても下手くそなものは下手くそな儘なんだなぁって改めて思ったよ』

「ナチュラルに傷つく事言わないでくんね？」

『ごめんって。それじゃあ、またね』

そして蒼と別れて、凛のところへ行く。
凛が待っていると思われる場所まで来たが、そこに凛はいなかった。

『あれ・・・凛・・・？どこ？』

周りには凛どころか他の人すらあまりいない様に思えた。
生憎、携帯電話も含め私の荷物は凛に預けてしまっているので連絡しようにも出来ない。

屋台がたくさん出回っているところにも来てみたけど、人混みの中で凛を見つけ出すのは私には無理かもしれない。

『うぁっ・・・』

こんな人混みの中で立ち竦んでいるので、通行人には邪魔になっているだろう。すごくぶつかる。

『どうすりゃいいのかね』

突っ立っているのは邪魔なので、何処にも行く訳では無いが歩き出しながら考えていると、誰かが私の名前を呼んだ。

声のする方へ向き、『私ですか』と問いかけると、そこには霧哉がいた。

『あっ・・・！！霧哉！！丁度いいところに！』

「なに？友人とはぐれたの？」

『そうなんだけどさ、今すぐ私の携帯に電話かけて』

「なんでAの電話？Aからその友達にかければいいじゃん」

霧哉に携帯含め荷物は凛、もとい友人に預けてしまっているので、連絡手段がないという事を伝えると、彼は承諾してくれた。

「・・・誰も出ない」

彼がいくらコールをかけても電話には誰も出ることは無かった。
『はぁ・・・』と落胆していると、女性の声と思われる甲高い叫び声が聞こえてきた。
助けに行かなければ・・・！！

そう思い、女性がいると思われる場所まで走り出す。
後ろで霧哉が何か言っているような気もしたが、今はそんな事を気にしている暇など無い。

叫び声が聞こえてきた場所まで来たが、そこには私の知ってる顔があった。
あれは凛だ。
しかし、周りには何人かの男が凛を囲んでいた。

『何してるんですか』