【WT】花天月地【Smile】 (ページ26)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:30,278 hit

#25 ページ26

side Rin

Aには隠しているけど、私は茶髪が誰なのかはとっくに知っていた。
なんなら水やりを頼んだのは私だし。
彼とAの関係を深めるきっかけになるかな、と思って私は彼とAの手助けをしたつもりだった。
しかし、Aは部活に来れない状況下だった為、正直彼の手助けができていたのかは分からない。
Aは見てないだろうし。

私とAがまだ仲直りしていなく、Aの足もまだ完治していなかったある日、彼は私に相談をしにきた。
内容は｢Aの事が好きってことに最近気づいた｣との事だった。

そこで私は何個か提案をしてみた。
｢Aの植えた花の世話｣だったり、｢Aと一緒に登下校してみる｣だったり、｢連絡先を聞いてみる｣というような事を提案した。

結果、登下校と連絡先に関してはAから聞いたらしいが。
でも断ってはいないみたいなので結果オーライだと思うよ。

私がAの事を軽く冷やかしていると、Aは恥ずかしそうな表情をしていた。
これはどうなんだろう・・・？
まぁ、大丈夫か。

rn｢笑琉、頑張ってね。私の努力、無駄にしないでよ｣

また別の日、笑琉ではない人が相談をしにきた。まぁ彼も私の知り合いだけど。

彼も、笑琉と同じような内容の相談だった。しかし、彼もAに好意がある、との事。
彼曰く、友人の笑琉にいつも先を抜かされている。自分ばかりAと仲良くできないのは嫌だ、との事。
私は彼に｢誕生日を聞いてみては？｣と提案した。
それに、まだお互い分厚い壁が隔てられているので、タメで話してみる、というのも一応提案していた。

でも結局、笑琉ほどAとは仲良くはなれない。
諦めた方がいいのだろうか、と聞かれた。

rn｢まだ諦める訳にはいかないでしょ。確かに笑琉には行動力が負けちゃってる。でも、Aが好きなのは翔希の可能性だってある訳だし｣

sh｢可能性があったとしても笑琉よりかは低いだろ。結局俺は負ける運命なんだよ・・・
ごめんな、凛。俺の話聞いて貰って｣

rn｢別に今じゃなくたっていい。失恋するかどうかなんてこの先分からないじゃん。
気持ちを伝えないまま友人にAを取られていいの？
伝えないまま失恋って結構痛いんだよ｣

sh｢凛だってもう俺が失恋するってわかってるじゃん。でも、伝えて失恋って方が逆に清々するんだろうな｣

翔希は渇いたような声で、何処と無く嗚咽が混ざったような声でそう言ってこの場から去っていった。