まっしろなあい ページ1
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もともと、生きる意味ってなんだろうって思ってた。
人間が勝手に動物から誕生して、進化して、地球を壊しているのだと思っていた。
そんなことを考えるのは、私だけだろう。
だってこんな馬鹿げた果てしない問いを考えるなんて愚行にも程があるのだ。
ぼんやりとただつまらない天井を、一人で寝転がりながら眺める。
可愛いメルヘンなお部屋にそぐわない、重い鉄の塊が、私につながっている。
それは首と足につながっていて、足の鎖の先には錘、首の先は壁だった。
ドアにギリギリ手が届かない長さの鎖で、簡単に外には出さないという意思が感じられる。
そんな開けられないドアが、かちゃりと可愛らしい音を鳴らして開いた。
白色のドアから覗いたのは、もふもふの犬だった。
家で飼っている、すまいぬだ。
紫のネクタイをつけていて、黄色のバッチを胸につけている。
わん、と可愛く優しく吠えるその姿がとても愛おしくて仕方ない。
しかし、少し癒されたのも束の間だった。
すまいぬ一人でドアが開けられるはずもない。
下に下げていた目線をドアに向ければ、漸く気づいたかと言わんばかりの顔で立っているスマイルがいた。
いつのまに、部屋の中に入っていたのだろうか。
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天薫茈雅(プロフ) - ほうき星さん» コメントありがとうございます!ご丁寧な選び抜かれたお言葉での賛美、ありがとうございます。当方あまり文字を綴るのが得意では無いため、そう言っていただけますととても嬉しいです。更新は遅くマイペースですがお付き合い頂けますと幸いです。 (4月11日 0時) (レス) id: c24003a2ad (このIDを非表示/違反報告)
ほうき星(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。小説の世界観が本当に好きで作者様の選ぶ言葉の1つ1つが本当に丁寧で主人公の心の苦しさとかキャラクターの愛の深さに感動しました。 (4月10日 15時) (レス) id: 43360d69cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あめ | 作成日時:2024年1月21日 20時