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空白が四十四。 ページ45

「これはAが持っていたものだ。黒虎の情報と一緒になっていたから、そのまま持ってきたんだろう。」


「な、何故そんなに知って...」


「探偵社に婦人が依頼に来たことがあっただろう。その仕事で悪行に手を染めたご主人の屋敷に行ったのだ。

そこで、マフィアのAと会った」


「Aちゃんがマフィア!?」




国木田がなんだ、知らんのか、と呆れた目を敦に向ける。だが敦はそれ所ではなかった。




「そのご婦人はAの事を軍警だと云っていた。...色々な組織を転々としていたのだろう。恐らくは情報のために」




敦はその婦人が来た時のことを思い出す。一緒に来ていた軍警の人と、婦人。

一瞬目が合った時のAの顔と一致する。あの時は軍警だったのか、とすとんと何かが落ちるような納得感があった。

だがそれでも引っかかる節はある。




「でも、前と姿が違ったような...」


「Aの異能は姿を変える異能力だ。詳しくは知らないが、そのせいだ」


「...じゃあ、Aちゃんが生き返って...記憶を失ったのは」


「嗚呼、異能者が死んで元の時間に戻ったからだ。Aにとっては記憶は失われていないし、時間はそのまま進んでいるんだ」


「空白にも、なり得ない...」




寂しそうな様子の敦。見兼ねた国木田は、一つ溜息を吐く。




「先ずはAの所に行ってや」


「それで良かったのかもしれませんね」

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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年9月8日 13時

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