空白が三十八。 ページ39
「は、ぁっ、」
「何なんだよ!」
もう一発入れようとまた振りかぶるが、警戒態勢に入った彼が、苛立ちと焦燥に任せて、足をAの鳩尾に思い切り入れた。
「が、げほ、」
咳で唾液と血を吐き出す。喉がヒューヒューと虚しい音を立てていた。
それでも、口端を乱暴に拭い、また立ち向かう。
「はぁっ、探偵社には、行かぜないっ、」
「はぁ!?探偵社になんか行かねぇよ!一人で行って勝ち目ある訳ねえだろ!」
Aはその言葉で止まろうとしたが、行き成りは止まれず、よろよろと前に数歩歩いて、そのまま倒れた。
彼は逃げる様に去って行って、もう見えない。
意識が朦朧とする。血を流しすぎていた。視界がぼやけていた。それは暖かくて、涙だと気付いた。
「Aちゃん!!」
聞き覚えのある超えがする。遂に幻聴まで聞こえてきたか、と自分に呆れた。
足音が近付いてくる。幻聴だと思っていた声も、どんどん近くなっていく。
「Aちゃん、Aちゃんなんだよね...?止血、止血しないと」
「あ、つし...?」
気が付けば距離はなくて、自分は敦の片足の上にいた。
確かめるように手を握る。握り返す力で、これは夢じゃないんだとまた涙が零れた。
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年9月8日 13時