空白が三つ。 ページ4
その言葉を聞いて、頭に電流が走る感覚がした。表に出さなかっただけ凄いと自分でも思う。
こんなに早く機会がくるとは思っていなかった。そして、この交番から探偵社までの道が一つではないこと、少し複雑で、危ない道があることにも感謝しなければならない。
「此処からは複雑なので、宜しければ目的の場所までお送りしましょうか?」
「そこまでして貰わなくても平気よ、複雑だからって迷う程歳とってないわ」
いや、迷ったから交番に来たのでは、という言葉は飲み込んでおく。我慢は得意だ。
けれどここでそうですか、と見逃す訳にはいかないのだ。自分の為に。
Aは今その女性を黙らせる一番有効な言葉を知っていた。
「でも、複雑だけでなく最近路地にはマフィアも出ますし...」
気まずそうに目を伏せれば、その女性が少し怯んだのが視界に入った。Aが勝利を確信したのが判ったのは、多分ここでAだけだ。
マフィアと一般市民、更には老女ともなれば出会い頭に若し殺されそうになっても抵抗して勝てる訳がない。
交番に頼る方が賢明だと云える。
「...それじゃあお願いするわ」
判りました、とにっこり笑い、後ろにいた巡査長をちらりと見やると、頷いてくれたので、交番を出た。
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年9月8日 13時