空白が十八。 ページ19
真っ直ぐその人を見据える。細身のスーツを着た男だった。
凄い形相で此方を見るその男の真正面に立ち、堂々と云い張るA。云い返そうと、若しくは攻撃しようとする前に、核心を突く。
「貴方の奥さんに会ったんですよ」
「...は、」
「私に夫が死んだと嘘を吐いて、探偵社に助けを求めようとしていました」
怯んだ隙を見て、そこからどんどん言葉を強めていく。反論の暇は与えない。
軍警が解決出来なかったのも頷ける。だって、死んでなかったんだから。
「元々は此処、貴方と奥さんの家でしょう。金が無くなった貴方は危ないことに手を出して稼ごうとした。
危ないからと奥さんを東京の家に移して。」
でもそれが原因で奥さんは探偵社に頼った。奥さんの反対意見を聞くべきでしたね。
奥さんが必要としていたものは、幸せに必要だったものは、お金じゃなかったんですよ。
と先程よりも優しい口調で云うと、その男は周りも歳も忘れて膝から崩れ落ちる。
大きく嗚咽を漏らしながら手で顔を覆うその男の横の扉が勢い良く開いた。
そこに居たのは、話していたばかりのあの奥さんだった。
二人が抱きしめ合うのをずっと見詰めている訳にもいかない。だが、此処を大人しく出る訳にもいかないのだ。
Aが出したのは、拳銃だ。
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年9月8日 13時