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父の肖像(壱) ページ11

「はぁー、落ち着く」




早くも復帰したうずまきにて、太宰が零した。




「落ち着くのはいいですけど、仕事を怠るのは辞めてくださいよ?」




それにAが呆れを滲ませ云う。




「そう云えば、組合の残党って結局…」




思い出したように敦が云いかけ、そこにドアベルがカラン、と鳴った。




「あら、お疲れさん」




親しげにおばちゃんがその人物に向かって云った。




「皆にも紹介しないとね

新人の__」




皆が一斉にその人物に目を向ける。そこには、綺麗な赤毛の女性。


と思っていたら、持っていた箱を敦に投げつけた。

そして、




「何で逃げるんだよ!?」


「何となくよ!!」




逃げた。




♢♢♢♢♢




その日は学校帰りに探偵社に寄ると敦がいなかった。

聞くと、乱歩の代理で仕事に行き、その仕事に敦を長年苦しめた孤児院の院長が関わっていたらしい。




「敦さん」




夕方、泣き腫らした目で公園のベンチに座っている敦の隣に座るA。




「Aちゃんは…Aちゃんの親は、どんな人だった?」




何かに縋るように、敦が声を絞り出した。

Aは少し考えて、海を眺めながら云う。




「肉親は判りません。気付いた時には孤児院にいて」




孤児院、と云う言葉を聞いて、敦が判り易く反応した。

Aも自分と同じ孤児院だった事に驚いたのだろう。




「あ、でも私は敦さんみたいにずっと孤児院で育った訳じゃなくて…引き取られたんです」




敦が納得するのが見えた。だが、Aが引き取られた家は敦が想像するような家ではなかった。

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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年6月16日 10時

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