双つの黒(漆) ページ14
走ると、そこには先程いなかった、組合の構成員と思われる人が長い髪を揺らしながら立っていた。
触手のようなものを中也に絡ませ、其の儘小屋の方に投げつけた。
「むぅ、流石組合の異能者、驚異的な
「踏むな!」
倒れた中也を踏みながら太宰が云う。首を鳴らして、近付いてくる其奴に、警戒する。
「来るぞ、如何する?」
「ふっ、如何するも何も、私の異能無効化ならあんな攻撃」
云う前に触手が太宰目掛けて飛んでくる。普通なら無効化される筈なのだが、太宰はされるが儘に吹っ飛んだ。
「太宰ィ!?」「太宰さん!!」
二人が太宰の方を見る間にも、また攻撃が飛んでくる。二人は切り替えて同時に触手を殴り返した。
触手を撃退すると、太宰に駆け寄る二人。
「太宰さん!大丈夫ですか…!?」
屈んで太宰と目線を合わせ、怪我がないか体を見るが、目立った外傷は見受けられない。
一旦ほっとしたのも束の間、顔を上げた太宰は、所々血が滲んでいた。
「血が…!」
Aがポケットから布を取り出して顔の血を拭いた。
ごしごしごしごし…
「A、有難う。…あの、もう大丈夫、痛、痛た、A!?」
ごしごしごしごし…
必死で血を拭き続けるAに太宰は耐えきれず悲鳴をあげた。
名前を呼ばれてはっと我に返るA。中也はAに心配されて、少し羨ましかったが、こうはなりたくないと思った。
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年5月27日 19時