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単なる、自分のエゴだった。自分が次々と過ちを繰り返せば、優しい彼はそれを止めようとどんどん正しい方向に歩んでいく。

それでいいと思った。それが、望んでいたことだから。



 
――「んな事ねぇよ。確かにアンタは最強かもしんないけど、俺は色んな人に心配されて、助けられてここにいるから」
 


 
「……やっぱり、」
 
「一人は寂しいなぁ、」




五条悟は珍しく驚いた。目の前の自分が、その青い瞳から涙を零していたからだ。どこか諦観したように笑い、泣いている。

かと思えば、ゆっくりとした動作で指を揃えた。何をするか分かってしまった彼は、「やめろ!」と叫んで彼女の腕を掴む。



 
「っ離せ!」


「オマエ、死ぬつもりだろ」
 



腕を掴んだままそう言えば、彼女は黙り込んだ。それが答えだろう。
 



「あの世界に私はもう必要ない!……おねがい、もう疲れたんだ」
 



懇願する彼女は、自分とは思えない程取り乱して暴れていた。

それならこの世界にいればいい、なんて軽率なことは言えない。彼女には彼女の世界がある。多分、きっと、彼が正しい道に進んだであろう世界が。
 



「必要ないなんて本当に言えるの?」


「……」
 



彼女が動きを止める。息をついた瞬間、ドンッと思い切り胸を押されてしまった。



 
「――じゃあね」


「っ待て!」
 



少し赤くなった目元を細めて、揃えた指をこめかみに当てる。駄目だ間に合わないと分かっていても手を伸ばした。

だが、思っていた景色はそこにはない。血も、死体も。それどころか、そこには誰もいなかった。



 
「戻った、のか……?」



 
何が起こった分からないが、きっと戻ったのだろうと結論づけた。
 



「にしても、傑が生きてんのかー……」



 
誰にも言うつもりもないが、少し羨ましいと感じてしまった。だが一緒にはいないというのがまた、
 



「皮肉なもんだね」



 
一人呟いて、自分も高専に戻る道を進んだ。

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みるくてぃー(プロフ) - 琥珀さん» そう言って頂けて本当に嬉しいです...!ありがとうございます! (2021年2月19日 18時) (レス) id: 7b7340be6b (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - みるくてぃーさんありがとうございます!呪詛師五条と呪術師五条ちゃんのバトルめちゃめちゃ良かったです!本当にありがとうございました! (2021年2月19日 16時) (レス) id: 29eff10e9f (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー(プロフ) - ミラさん» いえいえ!毎回リクエストやコメント糧になってます…!!リクエストありがとうございます!書いてみますね! (2021年2月19日 11時) (レス) id: 7b7340be6b (このIDを非表示/違反報告)
ミラ(プロフ) - リクエスト叶えてくださりありがとうございました!みるくてぃーさんほんとに私も拙い語彙力からこんな神作品を作ってくださるなんて凄すぎて…またリクエストなのですが、本日更新された作品の逆バージョンが見たいです!原作にif五条呪詛師ちゃん襲撃が見たいです! (2021年2月19日 0時) (レス) id: 23e9cd344d (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー(プロフ) - 琥珀さん» コメント、リクエストありがとうございます!書いてみます! (2021年2月12日 22時) (レス) id: 7b7340be6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2021年2月1日 20時

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