【呪術廻戦】青い春番外編２【五条悟成り代わり】

残穢を辿る ページ30

「殺したければ殺せばいい。それには意味がある」
　



違う、違うの、待って。お願い、嫌だ、ねえ、置いていかないでよ、傑、ねぇ――
　




行かないで、


　
　
汗の気持ち悪さで目を覚ました。起き上がってみれば、汗だけでなく頬に涙が伝っていたことに気付く。

あぁ、夢かなんて他人事のように思って、ベッドから降りた。こんな汗かいて、もう一度眠れる訳ない。
　



「……はぁ……」



　
時刻は、草木も眠る丑三つ時。静寂だけが残るこの部屋で、自分の溜息が嫌に大きく鼓膜に響いた。

最近はテレビを見る気にもならない。隣に傑がいないから。

傑と別れたのはつい一週間前のことで、あれだけ泣いたからか分からないけれど、それからのあたしは怖いくらいいつも通りだった。硝子にも少し心配そうな目で見られたけど、別に空元気って訳じゃない。

あたしの気持ちの変化なんて目もくれず呪霊は湧くし、まぁイコール任務は減らない。だからかな。

　
水でも飲むかと立ち上がって部屋を出た。パタパタとTシャツの襟を動かして汗を乾かしながら共有スペースの台所に向かう。

少し外に出てみると、夜風が吹いていて涼しくて気持ちよかった。傑がいたら、風邪ひくよなんて咎めるんだろうな。
　
　

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